
闘犬センターでソフトボールをした選手
で、オーナーに怒られた回数を決める大
きな要素がありました。
それは、闘犬センターの社員として働い
ていたのかということでした。
私なんかがオーナーの言うことに縦を突
いて、時には文句を言ったりできたのは、
私が闘犬センターの社員としてではなく
て、お客さんとしてソフトボールをして
いたことに尽きます。
まあ、私の場合土曜日から闘犬センター
に泊まって、日曜日試合に行くといった
半分お客さん、半分社員みたいな立場の
特別な存在でしたから、社員の苦労も目
の当たりにしてきました。
このオーナーさん、イライラすると誰か
に当たりたくなるんですね(笑)
いわゆる、とばっちりというやつです。
普通の社員にはなかなか出来ませんので、
腹が立つとソフトボール部員を怒って、
腹の虫を収めるなんてこともありました。
また面倒臭いことに、試合の朝なんか特
にイライラしているんです。
その時に何か気に入らない事があると、
この会社時間やお客様がいるとか関係な
く、
「集合!」
がかかるんです。
「集合!」になると、社員は全員2階に
集まらなければいけません。
すると広い売り場に残っているのは、奥
さんと社員ではない私の二人みたいなこ
ともありました。
2階からはオーナーの怒鳴り声が聞こえ
てきます。
こっちは慣れたものですが、お客さんは
びっくりですよね。
営業時間中に社員がお客さんをそっちの
けで、2階に消えていくのですから。
怒鳴って気の済んだオーナーは、
「仕事に戻れ。」
で終わるんですが、ものすごく機嫌の悪
い時は、これが1日何回も繰り返される
こともありました。
本当に社員は大変でした。
その中でもソフトボール部員は、大変で
したね。
気を効かせて準備をしていると
「ワシの許可もなく、何をしゅうがな。」
と怒られ、怒られたので何も準備してい
ないと、
「なぜ、準備してないがな。」
と怒られる。
こちらとしては、
「どうせえ言うがな!」
困った人でした。
こんな人でしたから、このシリーズの最
初に紹介した西村君のコメント(覚えて
いますか?)にあった、みせしめのよう
に怒られたという事実に、オーナーの何
か思惑があったかと聞かれると、なかな
かそうは思えないのが正直なところです。
単純に一番怒りやすいやつを怒っただけ
なんじゃないか。
全てにおいて注目される西村選手が、
勘違いしないように、有頂天になって
失敗しないようにと、考慮して選んで
怒っていたわけではないと思います。
しかし、結果としては西村選手は、持っ
て生まれた性格も良かったのでしょうが、
頭を出そうとすると、先輩に上から叩か
れ、オーナーからは常に頭を抑え付けら
れていたことで、周りに敵も作らず、
実力で勝負できる日本のエースの立場を
手に入れ、闘犬センター亡き後も個人と
しての評価で、現在の地位を作り上げま
した。
間違いなく結果論ですが、これは西村選
手にとっては、良かったんだと思います。
ただ、西村選手本人は本当に大変だった
と思います。
彼の人間性のお陰で、あれがあったから
こそ今の自分があるなんて言ってくれて
いますが、見方を変えるとただの
「いじめ」
ですからね(笑)
やはり、西村選手が素晴らしかったとい
うことに尽きるんでしょうね。
やっと話を本来の話に戻すことが出来た
ところで、今週はここまでにしたいと思
います。