メールマガジン(29) | ソフトボールを愛する人にお届けするブログ

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ソフトボールがもっと上手になりたい、勝ちたい、テクニックが知りたい方に、カリスマたちの貴重な情報をお届けします。

事前合宿先であったオーロラから
世界選手権の開催地であるミッドランド
に移動する全日本チームでしたが、その
間にも事件が発生していました。

さてどんな事件だったんでしょう。

それではどうぞご覧下さい。

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第25号のメニューはこちらです。

■昭和59年(その5)
■編集後記

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■昭和59年(その5)
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世界選手権のお話の続きです。

事前合宿地であるオーロラから、世界
選手権の開催地である、ミッドランド
への移動の日になりました。

この日は朝早く起きてバスで空港に移動
して、飛行機でミッドランドに入るとい
うことになっていました。

この途中で事件が起こっていたのです。

移動の途中、選手団長として参加してい
た闘犬センターオーナー弘瀬 勝氏が、
腹痛を訴えて別行動(病院に行った。)
になりました。

私たちはそのことは知っていました。

それ以外のことは何の説明も指示もなか
ったんです。

飛行機に乗り、バスで選手の宿泊場所に
なっていた大学の寮に入りました。

静かで、きれいな所でしたが、いよいよ
本番が始まると、気持ちも引き締まって
きていました。

荷物の整理も終わって落ち着いていた時
に、いきなり集合がかかりました。

病院によっていた選手団長が到着してい
たのですが、いきなりご立腹だったんで
す。

「お前らあ、何をやりゆうがな。」

「ワシがお腹が痛くて病院に行っていた
 のは、知ちゅうろうが。」


「やっと来てみたら、ワシの荷物は置き
 っぱなしやし、どうなちゅうがな。」


え~?荷物が一緒に来ているなんてこと
すら知らなかったし、あんたが何処に宿泊
するかも知らされてない。

また訳の分からないことを言い出したぞ!
って思って聞いていましたが、この時の
オーナーの怒りはなかなか収まりません
でした。

「明日から交代でワシの世話係をせえ!」

ん?、試合をしに来たのにあんたの世話
をしろとはどういうこと?

世界選手権に参加していた
「闘犬センター」勢には、本来の仕事以
外に別の仕事が言いつけられてしまうこ
とになりました。

とりあえず機嫌が極端に悪いので、扱い
方を間違えるとさらに面倒くさいことに
なってもいけないということで、初日は
杉本さんと私がつくことにしました。

翌日はとにかく機嫌を損ねないように、
オーナーの言われるよにしようと相談し
て部屋にいきました。

いつものことですが、一回怒鳴ってしま
うと後は、意外と大人しくなるんですね。

その日はいきなり釣りをしようというこ
とになります。

借りていたレンタカーを杉本さんが運転
して、英語の地図を見ながらのお買いも
のになります。

ホームセンターみたいなところで、釣り
道具を買って戻りました。

試合会場の周りに小さな小川が流れてい
たんですね。

その存在を何故だかオーナーは知ってい
ました。

そこで釣りをしようというのです。

「こんなところに魚なんかいるの?」

って感じでした。

仕掛けも簡単なもので、テグスに針をつ
けて、エサは缶詰のコーンでした。

竿はないので、テグスを近くの細い木の
枝にくくりつけるという、これで釣りと
言えるのかという簡単な仕掛けでした。

何か所かに仕掛けを投入して、さあ帰ろ
うかとした時のことでした。

近くを歩いていた現地の方が、何かを言
って先ほど仕掛けたほうを指さしている
ではありませんか。

なんだろうとそちらを振り向いてみると、
枝は大きく曲がり、水面で魚がバシャバ
シャしているではありませんか。

大きな鯉が掛かっていました。

びっくり仰天です。

あんな簡単な仕掛けで、いとも簡単にこ
んな大きな鯉が釣れるなんて。

考えてみるとそこで釣りをしようとした
のは私達くらいだったんだろうと思いま
す。

鯉も釣られるなんてことは経験したこと
がないので、簡単に目の前にあるコーン
に食いついてみたら、針と糸がつながっ
ていたということだったんだろうと想像
します。

釣れた鯉を宿舎に持って帰って自慢が始
まりました。

次はこれを料理して食べようということ
になり、大きな鍋を借りて来いだ、まな
板だ、包丁だと次々指示が出ますが、
大学の宿舎にそんなものがある訳もなく、
英語力の弱い私たちではそれを聞いてま
わることも困難で、この鯉は結局料理さ
れることなく、庭に置かれたままになり
ました。

機嫌はよくなったんですが、釣れてしま
ったもんですからこれからが大変なこと
になりました。

連日同じ小川で釣りをすることになりま
す。

この話を聞きつけた動向しておられた
日本体育大学のS奥先生までもが、釣り
をすることになりました。

このことが選手団長の機嫌を良くするこ
とになるとは思いませんでしたけどね
(笑)

実はこのS奥先生も獲物も釣り上げるこ
とになりますが、釣り上げたのが魚では
なくて

「スッポン」

だったんです。

これが決め手でした。

「ワシは鯉を釣ったのに、Sはスッポン
 やった。」


子どもの喧嘩に勝ったガキ大将のように
喜んでいましたし、これまでの不機嫌な
表情はどこにもありませんでした。

機嫌は良くなったのですが、その後また
大きな魚がかかったのですが、テグスが
切れてしまうということがありました。

ホームセンターにはこれ以上太いテグス
は無いということで、宿舎で選手がテグ
スを何本が編んで太いテグスを作るとい
う作業をさせられていました(笑)

残念ながらこれ以降鯉が釣れるというこ
となく、大会も始まりましたし、釣り騒
動は終了ということになりますが、まあ
迷惑な話でした。

これは後日談ですが、この大会に同行し
ていたミズノスポーツのK藤さんと昨年
お会いした時に、昔話をしていたら

「あの時は会長も初めての世界選手権と
 いうこともあって、下手を打ってはい
 けないというプレッシャーがあったん
 じゃない。」

と言われていました。

だから、事前合宿中もガミガミ言って来
ていたし、本番会場入りの際もイライラ
していたのかと、納得する部分もありま
したが選手が試合に集中できるようにす
るのが仕事のはずの選手団長が、選手に
余計な負担をかけるようなことではいけ
ませんよね。

本当に困ったオーナーさんでした(笑)

今日はここまでにしたいと思います。

次号は世界選手権での試合の様子をご紹
介したいと思っています。

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これはもう31年も前の世界選手権の
お話しですが、昨日全日本のメンバーが
カナダの世界選手権に出発しました。

特に意識しているわけではありませんが、
時期が重なったことに不思議な偶然を
感じてしまいました。

順調に調整して、万全の状態で本大会に
臨んでもらいたいものです。

今はオーナーのようなわがままを言う人
が同行することがないので、大丈夫です
よね。




この人がわがままを言っていた人です。

着物を配ったりして世界への足掛かりを
作っていたのでしょうか?

この後世界協会(ISF)の副会長に
なりますので、初めての海外出張でそこ
まで視界に入れていたとすれば、この人
ただ者ではないですね。

今日はここまでにします。