選手紹介(11-2) | ソフトボールを愛する人にお届けするブログ

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昨日に引き続き「田中雄二選手」の
ご紹介です。

思い出したエピソードがあります。

それはクラブ大会や国体で良く戦った

「山梨クラブ」

との試合のことでした。

この時代、闘犬センターにはすぐ頭に
血が昇る「瞬間湯沸かし器」と言われた
選手が3名おりました。

私と佐竹選手と家竹選手の3名です。

それぞれ自分が一番冷静だと言っては、
相手をパロマだ、リンナイだ、○○○だ、
(もう一つが思い出せません。)と言い
合っていました(笑)

田中雄二さんは普段から穏やかな方で、
試合中に大きな声を出して怒っているな
んてことは、めったにない方でした。

どの試合だったかは覚えていませんが、
比較的早い時代の対戦のことでした。

田中さんが「ぶつぶつ」言っているんで
す。

「どうしたが?」

と聞くと、チャンスで打席に立った田中
さんが、内野フライを打ち上げてアウト
になった時に、相手チームから

「何やってんだ!」

とのヤジが飛んだというのです。

これに腹がたったらしんですね。
そこで返した言葉が、

「ソフトしよらあや!」

だったんです。

ただこれで終わらなかったんですね。
ずっと「ぶつぶつ」言ってるんです。

「まだ言いゆうが?」

この方、一旦言い出すとしつこいことが
分かりました(笑)

そいてこれ以降、この「何やってんだ!」
と言った山梨クラブの選手を名前で呼ぶ
ことはなくなり、

「おい、何やってんだ。」

と呼ぶようになりました。

この方もとても温和な選手で、何でこの
時にこんなことを言ったんだろうと思い
ますが、この一言のためにずっとこう呼
ばれることになるなんて思っていなかっ
たと思います。

昨年の埼玉県でのマスターズ大会に時に
久し振りに再会しましたが、相変わらず
の笑顔でした。

さすがに、もう「何やってんだ」とは
呼びませんでしたよ。

田中さんは昭和56年に中京大学を卒業
と同時に闘犬センターに入ります。

所属したのは7年間になりました。
その間守備に打撃にと、その貢献度は
大きなものでした。

昭和62年のシーズン終了後田中さん
は桂浜のオーナーの元を訪れます。

「今年で辞めさせて下さい。」

答えは

「まあ、待てや。」

「来年は世界選手権もある。教員で
 2回も世界選手権に出場したやつは
 そういないので、もう1年やったら
 どうや。」


だったそうです。

うまい引き止め策(殺し文句)ですよ
ね(笑)

昭和63年闘犬センターはクラブ、
一般男子、日本リーグ、日本選手権を
制覇して4冠に輝いていますし、鴨田
体育体と闘犬センターで構成された
国体にも優勝していますので、充実し
た1年になりました。

予定通りカナダで開催された世界選手
権にも参加して、この1年を終えるこ
とになります。

そしてこのシーズンオフ、再びオーナ
ーの元を訪れて

「辞めさせて下さい。」

と申し出たところ、

「勝手にせえや!」

と怒られたそうですが、田中さんは
勝手にやって、闘犬センターを退部す
ることになりました(笑)

その後は「高知教員」に所属して、国体
だけは一緒にプレーしていました。

やはり欠かせない選手だったということ
ですね。

怒られてはいますが、長く闘犬センター
でソフトボールをやった選手が、ことご
とくオーナーともめて辞めていくしかな
かったことを考えると、比較的順調にお
辞めになられた珍しい例だと言えると思
います。

オーナーは自分のチームを辞めた選手が、
ライバルになる可能性のあるチームに所
属することを、非常に嫌いましたし警戒
していましたので、闘犬センターを辞め
る時はソフトボールを辞める覚悟をする
のが普通でした。

オーナーの影響力を考えると、その所属
したチームに迷惑がかかることがあって
はいけないと思ったものです。

そういう意味では、田中さんは幸せな方
でしたね。

高校で教員をされていましたが、ひょん
なことから女子の指導をされることにな
りました。

ご存じのように高知県の高校男子は日本
トップレベルを長く維持してきましたが、
不思議なことに女子は全く強くありませ
ん。

競技人口も少なく、競争もあまりないの
で仕方ないことなんでしょうが、田中さ
んも大変苦労されていました。

たまに指導されているところにお手伝い
をしに行くことがありましたが、あの温
和な「まんちゃん」はどこにいったのか
と思うくらい、まあ怒りまくっていまし
た。

その時思いました。

この人、俺たちとあんまり変わらない!

だから闘犬センターでソフトボールが
できたのかもしれません(笑)

「類は友を呼ぶ。」

「朱に染まれば赤くなる。」

どっちかなあ?(笑)

今日はここまでにしますね。