読書時間:4.5h
一読:あり
再読:なし
R指定:なし
著者:東畑開人
刊行:2019年2月
価格:2000円+税
出版:医学書院
新米の臨床心理士がデイケアでケアを考える
プロローグ それでいいのか?
ケアとセラピー
「いる」と「する」
心と体
専門家と素人
幕間口上 時間についての覚書
円と線
シロクマとクジラ
治療者と患者
人と構造
幕間口上 ケアとセラピーについての覚書
最終章 アジールとアサイラム
デイケアには医療保険が適用される。
精神科デイケアでは自立支援医療制度を利用することができ、デイケア運営側に1万円/人日が支払われる。
臨床心理士になるのは易しくないのに、なっても報酬は安い。併設デイケアを除いて。
著者は、報酬に釣られて沖縄のデイケアで働くことにした。
でも、やることがない。
ただ「いる」だけに耐えられなくて何か始めるが、上手くいかない。
(デイケアに通うメンバーさんの役割を奪ってしまうなど)
ただ「いる」ことについて考え始める。
デイケアでは人の入れ替えが多い。スタッフは4年もいればベテランと言われる。
報酬は高いのに、やることがないのに、長時間労働でもないのに、なぜ?
ケアは双方向に行われる。
セラピーを受ける側が、セラピストに対して辛い話を聞かせて申し訳ないと感じるような場合だ。
居るだけで、スタッフはメンバーさんからのケアを引き受ける(感情労働という)
逃げ込めば庇護されるところをアジールといい、駆け込み寺などがそれにあたる。
メンバーさんのアジールはデイケアだが、スタッフのアジールは無い。
長く感情労働をしていると辛くなってしまうらしい。
デイケアに長く勤めるなら、ヒガミサ(スタッフ)のようにドライに対応するしかないだろう。
著者はそれができなくて、辞めることにした。
これだけ具体的なのに、本書は物語だという。
そんなハズはないッ!と口をついたが、
思い直した。
デイケアでは社会復帰を目指すことが目的になっている。
本書がモデルのあるフィクションとしたら、いるだけのデイケアは好ましくない。
あえて言おう、