印象派はこうして世界を征服した | サンディの今日もワイン

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サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:4.0h
一読:あり
再読:なし
R指定:なし
著者:フィリップ・フック/訳者:中山ゆかり
原題:How the Impressionist Painting Conquered the World
刊行:2009年7月
価格:2200円+税
出版:白水社

本本本本本本本本本本本本本本本本本本

 

元サザビーズディレクターの印象派考察

1近づいて見れば、支離滅裂なだけ-印象主義の衝撃的な新しさ
2鍵盤の上を歩く猫のメロディ-フランスにおける印象主義の受容
3新しい世界のための新しい美術-アメリカと印象主義
4文化的に正しい行為として-ドイツにおける印象主義の受容
5セント・ポール大聖堂の異教徒たち-印象主義に対する英国の反応
6奔走する競売人たち-印象派絵画、1945-1970
7価格の向こう側-印象派絵画、1970-1990
8永遠性の象徴-1990年以降の印象派絵画

 

印象派はビートルズ

誰でも描けそうな印象派絵画は、緻密に描くことが定説だった世界に、ざっぱな描写を持ち込んだ。
当初、保守層には全く受け入れられず、認められたのは後になってからだった。
すんなり受け入れたのは、アメリカのみ。
まさに第1次ブリティッシュ・インヴェイジョン

 

どちらも体験してないけど、あえて言おう
 


印象派はビートルズ

 

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印象派は出てきたタイミングも良かった。
緻密な描写は写真との差別化が難しくなりつつあった。
普仏戦争で暗くなってた世相には明るい題材の絵画が求められた。暗い題材で日の目を見ないバルビゾン派とは対照的だ。

それでは、誰でも描けそうな印象派絵画はなぜ高いのか?

オークションハウスが最大の原因なのは疑いようもない。
それ以外に「偽物がない」のも大きいと思う。それは、
ポール・デュラン=リュエル、ベルネーム=ジュヌらの画商が、作品を写真記録として包括的に残しておいたからだ。
レンブラントは、これら画商がスルーしたためか、ときに偽物が出るらしい。

大金と引き換えに買った絵が、偽物でしたーとなれば、価格が上がるわけない。
「魅力的な色彩と主題をもつ絵の親しみやすさ」というフィリップの見解も正しいのだろうけど、ド素人からみると、そうかぁ?と思える。いずれにしても、
オークションハウスが最大の原因なのは揺るがない。

フィリップが最後に断言するのは、

「美術市場で株式市場の優良株に等しいのがあるとすれば、それは 印象派絵画である。」
 

質の高さ?

don't think feel