ミラノ再発見 〜 センピオーネ公園とトリエンナーレ館 その2 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

前回からの続き

 

センピオーネ公園からトリエンナーレ公園へ下の地図の順路で回っていった。

 

 

 

 

トリエンナーレ館の裏手にはジオ・ポンティの鉄塔・トーレ・ブランカがある。

 

当時はファシズムの時代で、もともとは、"fascio littorio"、古代ローマの高位公職者の権威の象徴ともされたファスケス(束棒)にちなんで"Torre Littoria"と名付けられた。

 

以後、第二次世界大戦では、「トーレ・デル・パルコ」と改名されたが、のちにアマ―ロで有名な" Fernet Branca"に再編され、トーレ・ブランカと改名された。

 

高さは108メートル。当時ミラノでは、ドウモより高い建物(108.5メートル+マドンニーナ4.16メートル)は建ててはいけないという法律があったそうで、その後、高い建物を建てる度にビルの屋上にマドンニーナのコピーが置かれていると言う。

 

image

 

夜はライトアップされる。塔の足元は木々で見えないが、その隠された部分にカフェがあり、その名も"Cascina Nascosta"隠れ家的意味合いがある。定期的におしゃれな展示会などが行われている。

 

そして、トリエンナーレ館正面。

 

 

第24国際美術展を迎え、”INEQUITIES”「不平等」をテーマに、世界中のデザイナー、建築家、アーティストを招き、10の展示、8つの特別プロジェクト、20の国際参加団体によるインスタレーションやイベントが行われ、世界的なビジョン、喫緊の課題、展望を探求している。

 

入り口に大きなカバのオブジェが設置されていた。

 

 

 

"Fragilità del Futuro" 「未来の脆弱性」。

今回のトリエンナーレのテーマである「不平等」のために、アーチストであるヤコポ・アレグルッチの紙粘土による動物シリーズ(シロナガ鯨、ナミビア像、ウガンダキリンとカバ)が期間中に設置されていた。

 

ちなみに、アレグルッチはヴィアレッジョのカルネヴァーレの造型アーチストである。

https://viareggio.ilcarnevale.com/carnevale-cittadella/artisti/jacopo-allegrucci/


生態系の脆弱性と、自然界との関係に刻まれた不平等について、切実かつ深い考察を表現している。アレグルッチの作品は、物質の劣化プロセスに着想を得ており、地球の均衡を脅かす環境的・社会的亀裂の強力な象徴となっているのだそうだ。絶滅の危機に瀕しているいくつかの動物種を再現することで、アーティストはそれらを構成する物質の脆弱で一時的な性質との類似性を表現。リサイクル素材の代表格である紙粘土は、こうして脆弱性と劣化、特に大気中の要素に直接さらされた場合に時間の経過による痕跡を受ける運命にあるものの象徴となる。

 

残念なことに、シロナガ鯨像は、この7月に放火され破壊されてしまった。

 

館内は無料コーナーのみ見学。

 

 

 

建築とデザインに関する図書館。

 

 

日本画に関する本も発見!

 

 

こちらは、1933年第6回トリエンナーレでの 建築家ジュゼッペ・パガーノの作品である螺旋階段。

 

 

 

そして、こちらのモザイクも1933年の作品。レオノール・フィーニとアキレ・フニ、「アマゾンの騎行」、ミラノ第5回トリエンナーレのための床モザイク。

 

 

 

2階へ続く階段は、一見赤いカーテンが敷かれているようにも見える。

 

 

しかし、それは、“471Days ”というフィリップ・テオルディの作品であった。

 

2023年10月7日のハマスによる攻撃から、ガザの2025年1月19日の脆弱な停戦に至るまでの471日間、各当局の推定により、約48万5000人のパレスチナ人と166人のイスラエル人が死亡したとされているその記録そのものであった。

 

戦争は「不平等」を増大させ、最も脆弱な人々を直撃する。

 

 

日々のパレスチナとイスラエルでの死者数が記されている。

 

 

ところで、この「芸術王宮」"Palazzo dell’Arte"は、ベルノッキ家からの寄贈を受けてミラノ・トリエンナーレの本拠地となった。
 

アントニオ・ベルノッキは、兄弟のミケーレとアンドレアと共に、デザインがイタリア産業にとって重要になることをすでに認識しており、1930年にミラノ市へ500万リラ(現在の4400万ユーロに相当)を寄付し、国際装飾美術・工業美術・近代建築トリエンナーレの展示場が建設された。この展示場は1933年に開館し、「ベルノッキ宮殿」と名付けられた。

 

 こちらは特別展の入り口。

アントニオ・ベルノッキ上院議員への、感謝の意が記されている。

 

 

中庭には、ジョルジョ・デル・キリコの作品 

 

1973年のミラノトリエンナーレで、ジョルジョ・デ・キリコは「神秘的な浴場」をテーマにした噴水インスタレーションをパルコ・センピオーネの庭園に制作し常設されている。この作品は、曲線を描く水槽と、形而上学的なテーマやギリシャのヴォロスでの過去を想起させる彫刻的要素で構成されている。

 

imageimage 

そしてこちらは、 アルド・ロッシの「グランデ・ミラノ」。20世紀の知識の絶対的な巨匠であり、国際的な建築界のリーダーであるアルド・ロッシへのオマージュだと言う。



1987年モルテーニ社によって製造されたオリジナル「ミラノ」チェアの7倍である巨大版。


https://moltenimuseum.com/it/products/milano-un-legno-geniale/

 

彼は1990年に名誉あるプリツカー建築賞を受賞した最初のイタリア人建築家。また、ロッシが深く知り、愛した故郷であり、彼が育った街、ミラノへの追憶でもあると言う。

 

イタリアといえば、ファッション、イタリア料理、ルネッサンス芸術…など魅力がたくさんあるが、デザインも同様。

 

デザインには、車を始め、工業デザイン、プロダクトデザイン、空間デザイン、アーバンデザイン、グラフィックデザイン等など沢山分野がある。

 

トリエンナーレは、ミラノサローネ国際家具見本市と同時期に開催されるフォーリ・サローネででかけるが、あまりにも歴史を知らなかったことを今回知った。

 

次回のフォーリ・サローネの時は、違う見方で楽しめそうだ。

 

今日の一句

美意識の 歴史が凝縮 トリエンナーレ