冬の言葉 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 

 

冬の言葉  高村光太郎

冬が又来て天と地とを清楚にする。 
冬が洗ひ出すのは万物の木地。

天はやっぱり高く遠く 
樹木は思ひきつて潔らかだ。

虫は生殖を終へて平気で死に、
霜がおりれば草が枯れる。

この世の少しばかりの擬勢とおめかしとを 
冬はいきなり蹂躪する。

冬は凩の喇叭を吹いて宣言する、 
人間手製の価値をすてよと。

君等のいぢらしい誇をすてよ、 
君等が唯君等たる仕事に猛進せよと。

冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が求めるのは万物の木地。

冬は鉄碪を打って又叫ぶ、
一生を棒にふつて人生に関与せよと。
 
 
今週は更に寒くなると聞いていたが、今日は外に出かけた途端、微妙な頭痛を感じた。眉間をマッサージしていて、ふと首筋を触ったら、首から肩にかけてゴリゴリに硬くなっていた。
 
やはり、外部環境が急激に寒くなると、急激に血管が収縮して血行不良の状態になるのだろう。
 
ところで空手の稽古後、道場に残って練習をしていると、空手仲間にいつものところ(スリランカ料理)に行くけど良かったら来る?と誘われた。
 
夕飯の食事の準備は途中までだったが、どうしようかな?と思っていたら、次男から「夕飯要らない」とだけメッセージが来ていた。夫に電話をすると「今日から出張」と...。あれっ翌日からじゃなかったんだ。長男は仕事。「今から行くわ」とメッセージを送り、友人と合流。
 
楽しいひと時を過ごし気づいたら22時を過ぎていた。思ったほど寒くはなかったが、地元に戻ると、草むらは霜が降りていた。やっぱり寒いんだ...。
 
空気はひんやりしていたが、澄んでいて月が綺麗であった。まさに「天と地を清楚」にした感じであった。
 
冬が洗い出すのは万物の木地。
 
もうすぐ二十四節期の「大寒」を迎える。
 
「大寒」の朝の水は腐らないなどといわれるくらい、寒く、冷たく雑菌が繁殖しにくいことから、昔からこの時期に仕込まれた味噌は「寒仕込み」と言われる。
 
耐え忍ぶ厳寒。
 
秋冬が来ると、人生を考えてしまうのは、自分もそれなりに年を重ねて来たからだろう。

冬木立には、その冬をじっと耐え忍んでいる姿がある。しかし、それを乗り越えれば「春」なのだ。生命の営みが繰り返される。
 
陽も徐々にのびてきた。春はもうすぐ。
 
 
今日の一句
霜が降り 吐く息白い 帰り道