喜びに満ちた日 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

日本司教団のアド・リミナ訪問もついに終了し、ほとんどの司教、大司教さま方は帰国された。

 

とはいえ、昨年末、東京大司教区の司教補佐になられたアンドレア・レンボ司教が着任後初のお国入り。大きな喜びとなった。

 

↓トレヴィリオのバジリカ。

S. Martino e S. Maria Assunta教会 クーポラから差し込む光は荘厳さを醸し出す。

 

 

 元々は5世紀に救世主と被昇天の聖母に捧げられた教会であった。

 

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その後、1522年2月27日、フランス軍と神聖ローマ皇帝カール5世が戦い、ロートレック将軍率いるフランス軍が、クレモナを略奪し破壊しようとし、トレヴィーリオに到着。市の領事や聖職者による調停も虚しく終わり、人々は泣きながら祈り祈ったところ、翌日28日にアウグスティヌス修道院に併設されたサン・アゴスティーノ教会の壁に描かれた聖母像の目からは大量の涙が流れ、全身からは汗が流れ始め、それが6時間続いたという。町全体が喜びに湧き、町の鐘が祝賀の鐘を鳴らし、フランス軍は聖母に敬意を表し、退却。トレヴィーリオを略奪と破壊から救ったという話があり、「涙の聖母」として称えられている。
 
 

また、小教区は6つの教会及び修道会からなり、各教会は聖母マリアの周りに花びらに化したロゴが課され、各教会は色ごとに区別化される。

 

 
 
↑本日のミサ式次第。ちなみにMons.は「モンシニョール」の略で、カトリック教会での高位聖職者の敬称。

 

早くお御堂についてしまって席についていたが、ふと振り向くとアンドレア司教ご登場!

 

 

最前列には市長とカラビニエリ(憲兵警察)も参列。市長の前では皆立ち上がって対応されておられた。

 

ごミサは、ご出身宣教会であるPIME(ミラノ外国宣教会)の副総長と顧問の司祭も参列。総計14名での共同司式となった。

 

 

ミサのオメリア(説教)では、いきなり「おはようございます」と日本語で始まった。

 

日本を褒めるばかりではなく、沖縄を始め米軍に占拠され、周りの国に脅かされていること、日本は裕福にみえるが、貧困層も多く「こども食堂」などの活動など、小さな行いが信仰のシンボルとなると強調され、逆にヨーロッパでの信仰が衰退気味であると、釘を刺された。アジアに学ぼう、と述べられた。

 

「日本のカトリック教会は小さな光(Una luce piccola)。でも、闇があるから周りを明るくする。小さなロウソク、ともしびは信仰のシンボルなのです。」、と仰られた。ご自分が司教補佐に任命され、戸惑いはしたものの、世界中から喜びのメッセージを頂いた。それこそが喜びであり、喜びが喜びを生む。そして、喜びは聖霊の実りである、とオメリアを締めくくられた。

"La gioia è un frutto dello Spirito Santo."

 

 

 
そして、アンドレア司教は市長より、"San Martino D'Oro"・サン・マルティーノ・ドーロ市民功労賞を受賞した。この賞は、トレヴィーリオ出身で、さまざまな分野(科学、文学、芸術、仕事、商業、産業、学校、スポーツ、文化、宗教、慈善活動など)で活躍している人に授与される。ちなみにアンドレア司教はトレヴィーリオにおいて3代目の司教となった。

 

 

 
ごミサではカトリック日本人共同体の代表として、折り鶴と復活祭のエッグラップで作ったゆで卵を奉納した。折り鶴は「平和」のシンボルであり、日本人は折り鶴に思い、祈りを込めて折ることを紹介して下さり、ミサの後に配ることが出来た。

 

また聖歌隊に、トレヴィリオ小教区で「涙の聖母」に捧げられる聖歌”Lodiamo Maria “をリクエスト。いきなりで、「今ですか?」と指揮者から質問されたくらいであった。「そうです。今!」うふふ、相変わらず、ソフトでいながら押しが強い!爆

 

 

Lodiamo Maria 
che tutta Treviglio 
salvò con onore 
da grave periglio.
 
Lautrec adirato 
per atti insolenti 
s’avanza furioso 
coll’armi alla man. 
 
Nell’umil tempietto, 
ai piè di Maria, 
invocano i figli 
la Vergine Pia. 
 
O Madre soccorri 
ai figli gementi 
prostrati all’altare 
con fede ed amor. 
 
Miracol, si grida,
 ha pianto Maria! 
Giuliva la voce 
si sparge per via. 
 
Lautrec genuflette 
davanti alla Pia 
e l’elmo e la spada 
depone ai suoi piè. 
 
A Te dolce Madre 
la prece ed il canto 
dei figli devoti 
e grati al tuo pianto. 
 
O Madre soccorri 
ai figli gementi 
prostrati all’altare 
con fede ed amor. 
O Madre!  O Madre!
 
フランス軍からトレヴィーリオを救った聖母マリアへの感謝の歌である。

 

その後、教会の外の広場でお祝いが催された。
 
火曜日にアンドレア司教は日本へ戻られる。
帰り際、ご挨拶に伺うと「私のために祈って下さい!」と仰った。
 
キリストによって、キリストとともに、キリストのうちに。
 
喜びに満ちた一日を過ごすことが出来た。
 
神に感謝。