(出典 スタジオジブリ)
今朝、メルカートに出かけた。
帰りがけ道路を渡っている途中、右側に車が近づいてくるのが見えたが、渡りきれた。
後ろを振り向くと、おばあさんがまだ歩道の半分までも歩き切れていない。よく見ると、右手に杖、左手にはハンドバッグと白い買い物をした袋がぶら下がっていたが、かなり重そうで持ち手の片方が落ちていた。
一瞬立ち止まって見ていたが、渡りきるには時間がかかりそう。見かねて戻った。「買い物袋だけでもお持ちしましょうか?」避けられるかな?と思ったが、私に預けてくれ、おばあさんの脇に着き、私の肘に捕まってもらおうか、と思ったが、なぜか手をつないで歩き始めた。
何かずっとしゃべっておられたが、とにかく安全な場所までお連れしないと…「どこまで行かれますか?」と聞くと、Galera,ガレーラ、つまり刑務所だという。えっ???目の前はバールだったので、一休みされるのかな?と思ったが、そうでもない様子。
おばあさんに導かれるまま歩いていくと、目と鼻の先のアパートを杖で差し、ここだ、という。
ではこれで…荷物を渡そうとしたが、自分はもうすぐ100歳になる!というではないか?よく見ると、笑顔の素敵な私の代母のシスターによく似たおばあさんだった。何年何月何日生まれだ…というから、ちょっと待って!計算しても100には早くない?もう一度聞くと、4,7,1938と数字を言われた。38年だったら、亡くなった父の1つ下の86歳?!知り合いの80代の方たちよりもずっと年を取って見えるな…再び「私はもう少しで100歳なのよ、すごいでしょ!」という。え…96歳の間違え?やはり1938年と言われた。まあ若く見える人、その逆の人もいるからわからないか…
なぜか流れで私がアパートの入り口のドアまで鍵で開けるようになった。開けると中にも階段があるのが見えた。どこまで送ろうか?おばあさんはずっとニコニコしながら、家族の話を続けておられた。しかし、ドアに刺さった鍵が抜けない!おばあさんがトライしたが、やはり抜けず。ドアを半分閉めて引っ張ったが、取れない。何度か交代、交代にやってやっと外せた。
「では、お気をつけて。Buon pomeriggio!」良い午後を!と言ったが、手を放してくれず、「(ご自分の顔を指差し)私はもうあなたのことは覚えたから、また会いましょうね!」と言われた。鍵についていた天使のキーホルダーにGiovannaと書かれていたのを見かけたので「はい、シニョーラ・ジョヴァンナ!」というと、「まあ、なんで私の名前が分かったの?」と驚いた様子。キーホルダーをみましたよ」、というと、「私の名前はジョヴァンナ・M…」といってアパートの入り口の呼び鈴の名前を指差された。「家にいらっしゃい。コーヒーをごちそうするからね。」といって私のほほを撫でられた。
別れた途端にじわーっと涙。あの感覚は何だったのだろう。ほんの数分の出会いであったが、おばあちゃんに連れらた孫が、ほほを撫でられ、可愛がってもらったようなそんな感覚だ。瞬間的に幼い自分に戻り、幼い日の自分を思い出すようなそんな感覚だった。
♪やさしさに~包まれたなら ~きっと~ 目にうつる~全てのことは ~メッセージ...
そう、世界と自分の心を開き、無邪気な目でそれらを眺めると、まさに目に映るすべてのものがメッセージのように思える瞬間であった。
今日の一句
ブーメラン 人の優しさ 身に染みる