死者の月 2023 〜 その2 死者の日 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

今日11月2日、カトリックでは「死者の日」にあたる。(しかし祝日ではない)

 

日本のお盆は、日本で夏季に行われる祖先の霊を祀る一連の行事。日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事であるが、先祖や故人を弔う習慣はどの国、どの宗教も一緒。

 

もともとカトリックの死者のために祈る習慣は、初期キリスト教の時代からあり、4世紀には東方教会で、8世紀には西方教会において、ミサの奉献文に取り入れられるようになったという。ただ、当時は四旬節の2週間前の日曜日(1月末から2月あたりの期間)に行われていたという。

 

現在の「死者の日」の起源は、994年にフランスのベネディクト会・クリューニー修道院において、この日を帰天したすべての信徒のための記念日と定めたことにある、という。そして、この習慣は徐々に教会全体へと広まっていったそうだ。


教会は、死者のために祈ることにより、生きている人だけでなく、亡くなった人をも含む、交わりの共同体であるという考えを深めてきた。カトリックにとって「死」は終わりではなく新しい始まりであり、「死」の後には肉体を離れた「永遠の生命」があるとされているからだ。

 

ところで、ここ数年、身内や友人・知人や友人の身内の中で亡くなっていく人が多い。年代が上がっていけば、死に直面していくことも増えていくのは、別に不思議なことではない。それでも直接関係のあった人たちは、常に心の中で生き続けている。これが永遠の命なのだろうか。

 

死を想いながら、生きることを考える。

 

大きな病気と闘っている友人たちは、いろいろな不安を訴える。人間だもの、あって当たり前。

 

ポジティブに生きたいと思うが、不安とか孤独とか、そこから発生する怒りとか寂しさとか、そういうのと向き合う事は、実際、一生続くのではないだろうか。


会う人会う人にそういう思いをぶちまけるのはどうかと思うが、内面を訴えられる人がいる、ということも重要だと思う。

 

ところで、こちらはこの時期だけパン屋やケーキ屋に売られる、"PAN DI MORTI"「死者のパン」。黒い長めの楕円形の焼き菓子。カカオとドライフルーツとスパイスが効いているが、このお菓子は、特にミラノ、ミラノ郊外のブリアンツアの伝統的なお菓子。

 

起源は、古代ギリシャに遡るという。ギリシャ人は、豊作を祈り、収穫の女神であるデメテルに捧げていたという説がある。一方、ローマ人は死者を偲ぶために村の貧しい人々にパンやお菓子、果物を提供していたのだそうだ。

 

あちこちのPan di mortiを試してきたが、この2年ほどお気に入りなのが、サンタンブロージオ、コルソ・ジェノヴァ近くにある老舗のパスティッチェリア・Visconteaのもの。たいていのものはモサモサしているが、ここのは、しっとりねっとりガトーショコラ風。そして、甘さ控えめ、スパイスが良く効いている!朝食用にと思い、仕事帰りに寄り、まずは値段を聞いたら一つ3.5ユーロもするではないの!現在1ユーロは150.51円!このパン一つが 558円!とても2つは買えない!と思い、一つだけ購入した。しかも例年にくれば、かなり細くなっているではないか!どうせ食べるのは私だけなので、ちょびちょび味わった。

 

 

 

「死者の月」。命に感謝し、毎日を有意義に過ごしたいものである。