クレモナ散策 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

CREMONA ANCOR | Facebook 

 

ミラノから南東に80キロほどに位置するクレモナは人口8万人の小都市。

 

16-18世紀にはヴァイオリンの名器、ストラディバリウスやアマティを生み、ヴァイオリン工房があちこちにあり、中では世界的な大演奏家のためにヴァイオリンを作り続けている工房もあると言う。(一年に2-3台作るだけで生活は悠々自適という工房さえあるのだそうだ!)

 

シッター先の子供たちの洗礼式にクレモナに行くのなら、クレモナ在住の友人にダメ元で連絡を取ってみた。空手仲間のご一家でご主人もやはりヴァイオリン職人。彼らの工房にお邪魔させていただいた。

 

 

 

 

ヴァイオリンが美しい音色を奏でるかどうかは、とにかく職人の腕にかかっていると言われほど。職人になるためには、学校で専門知識や伝統技術を学ぶ必要があり弦楽器製作学校に通い、職人に弟子入りするようだ。友人の長男君が最近直接お父さんについて学び始めたそうだが、次男君は高校から製作学校の学生。学校の80%は外国人なのだそうだ。

 

量産ではなく手作業での製作。(中国では部分ごとに大量に生産するところもあるとか)ヴァイオリンの木材選びから始まり、ニスもご自分で調合されるのだと言う。

 

ちなみに 弦楽器製作者の事をイタリアでは、"liutaio"リュータイオと言う。リュート(弦楽器)の職人であり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロだけでなく、ストラディバリウスは、ギターやマンドリン、ハープまで製作していたようだ。

 

食後に出かけたヴァイオリン博物館。

 

 
 
1941年建立のファシズム建築の芸術館が使われている。古い建物だったのを、地元クレモナの大手製鉄工場の社長・アルヴェーディ氏の財団が改修費用を一手に受け持ってヴァイオリン博物館とオーディトリアム(サントリーホールを担当した日本の豊田泰久氏の音響設計によるもの)に作り替えたということで、2013年現在の形のミュージアムが実現。意外にも最近の話であり驚いた。余談だが、2012年にクレモナのバイオリン制作技術がユネスコの無形文化遺産に認定されたことを受け、以前はバイオリンコレクション、ストラディバリウス博物館が二か所で展示されていたそうだが、2013年に統合されたのだそうだ。
 
クレモナ生まれの楽器コレクションは、世界に類のないもので、博物館の目玉の一つ。赤いビロード調の展示室にヴァイオリンの銘器がずらりと並ぶ光景は圧巻。きっと価格が書かれていたら、もっとすごいかも?!笑
 
 

コレクションは、ストラディヴァリのチェロから始まり、アマティ一家とグァルネリ一家のそれぞれ三世代の楽器があり、最後にストラディヴァリの楽器が3台。彼が若い時の楽器2台と、黄金期の楽器が1台あり、各楽器を展示するケースにはQRコードが添付されており、その楽器の演奏が収録されたYoutubeにつながっていた。

 

 
友人のご主人に細かくガイドしていただいた。まったくのド素人からみると、どれも同じにみえてしまうが、それぞれの魅力をヴァイオリンにかける愛情を込め、嬉しそうに説明して下さる。無礼千万は承知で、ごめんなさい、もうお腹いっぱい。船酔いじゃないけど、ヴァイオリン酔いだわ~といって笑った。

 

 ストラディバリウスのギターとコントラバス
 
ところで、展示会場には、過去のコンクールで歴代第一位を受賞した楽器が展示されているのだが、3年に一度行われるトリエンナーレは、ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの4部門で、世界中から250台以上の楽器が集まり競われる、世界最大規模のコンクール。
 
昨年の9月のコンクールではなんと日本人が優勝。中学を卒業し、クレモナの製作学校へ入学。まだ30歳という根本和音氏。日本人の優勝は、1982年の、園田信博さん以来、39年ぶりの快挙だそうだが、日本人の入賞者の数には驚いた。

 

クレモナ、そして日本人といえば、ヴァイオリニストの横田玲奈さんがコロナ渦のクレモナの街に与えた勇気というのも記憶に新しい。

 

何度聞いても、心に響く。

 

それにしても、クレモナは暑かった!