小学生のころ、オレンジ色のポピーが好きで、よく学校に持って行っては、黒板脇に飾っていた。
しかし、自分で持って行っておきながら、毛虫のようなつぼみの殻が床に落ちているのを見るたび、大声をあげて驚いてしまったものだ。
最近、芥子の花のつぼみを見て、昔の記憶が蘇った。そして、芥子とポピーは同じ種類なのだと今更分かった。
薄紙をくしゃくしゃにしたような可憐な花びら。そして、茎がくねくねとしていて自由奔放に見える。これは、ケシ科ケシ属のアイスランドポピー。
ちなみに、英名のポピーはケシ科の植物の総称だが、日本では麻薬の原料となるものをケシと呼び、ならないものをポピーと呼んで区別しているのだそうだ。また、ポピーの別名が「ひなげし」「虞美人草」であると初めて知った。日本へは、室町時代にポルトガル人によってインドから津軽地方に薬用ケシがもたらされたとされている。
♪丘の上ひなげしの花で~
占うのあの人の心~
今日も~一人~
(「ひなげしの花」山上路夫作詞・森田公一作曲)
余談だが、アヘンの原料成分であるモルヒネを含んだ実がなるものは、日本では麻薬及び向精神薬取締法によって原則栽培が禁止されている。そのため、一般に流通することはない。違法なケシの見分け方は、葉が太く平べったく、葉や茎の表面には毛が生えていないのだそうだ。
♪赤く咲くのは けしの花~
白く咲くのは 百合の花~
どう咲きゃいいのさ この私~
夢は夜ひらく~
(「圭子の夢は夜ひらく」石坂まさを作詞・曽根幸明作)
イタリアではこの真っ赤な芥子の花をよく見かける。

こちらは北斎の罌粟(けし)。
気になる花言葉は、いたわり、慰め、思いやり、心の平静、恋の予感、陽気で優しい。
そういえば、あんぱんに飾られるケシの実は、ケシから得られる油糧種子。発芽しないよう熱処理されていることなどから健康には影響がないのだそうだ。食用種子の主成分は脂質で、たんぱく質も多く、脂肪酸組成はリノール酸が70%前後、次いでオレイン酸は15%前後なのだそうだ。
くれなゐの 唐くれなゐの けしの花 夕日を受けて 燃ゆるが如し BY伊藤佐千夫
色とりどり、鮮やかな芥子の花を見ていると心が癒される。


