冷静と諦観のあいだ | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

別に小説「冷静と情熱のあいだ」のパクリではない。

 

何とも言えないストレスというか抑圧と言うか、葛藤と言うか....、そう言ったものを抱えつつも、どこにどう当たっても仕方ないことはわかっているし、単に受け入れるしかないので、冷静を装うしかないのだが、早朝に一本のメッセージが入り飛び起きた。

 

シッター先のママさんが破水で入院。ツインズはママさんの妹が見ている。だからその後は私に頼む...と言う事だったのだろうが、ママさん検査をしたら陽性だった、と??? そろそろ2度目のワクチンが切れるころではあった。

 

えーっ?!

 

慌てて、家にあった最後の鼻スワブの抗原検査をした。本来15分待ちだが、すぐに一本の陰性の線が出る。...が今回は、なんで2本?これっ陽性?!

 

ジタバタしてもそこで私は強制自宅隔離決定。シッター先には何の役にも立てず申し訳ないが、どうしようもない。パパさんに連絡し、ツインズの面倒は親類がどうにかするしかない。自分もいつどこで検査をするべきか頭が回らないが、ママさんの様子をみるしかない、と返事がきた。

 

なんでこんな時に...最悪の事態だ。結局咽頭炎と思っていたあれがオミクロンの症状だったのだろうか?他にも口内炎ができたり、胃痛があったが単なる風邪なのだろうくらいにしか思っていなかった。

 

本来出産予定日は今月3月29日。イタリアでは予定日を一週間だか十日すぎると促進剤投与なり場合によっては帝王切開となる。ママさんは最終出産日を4月8日とし、そのための検査入院として22日に病院へ行く予定となっていた。

 

しかし、先週の時点で家族は皆疲れ切っていた。私も残業が続き、夫不在の為家事のしわ寄せで寝不足と過労がたまり、またパパさんママさんも子供達のペースに振り回され、寝不足。私が朝9時に到着すると、まだ寝ていた!ということが最近2度もあったくらいだった。皆ゾンビ状態...免疫力が下がっていて当たり前。

 

私はまずホームドクターの指示を仰ぐしかない。時間を調べたら、木曜日は11時半からの受付だった。まずは、次男も検査をさせないといけないが、検査キットは終了。どうする??

 

家族のwhatsAppグループに”Glovo"のアプリをダウンロードして!買い物も薬局も全てしてくれるから...と長男からメッセージが入り早速やってみた。

 

とりあえず検査キットを5つオーダー。カード払い。20-30分で到着と出た。配達人の顔もわかり、あと何分で到着というのも連絡がきて、本当に20分で着た。すごすぎる!!早速検査。次男無事陰性。

 

やたら、時間だけは進んで行く。11時半にホームドクターの所に電話をすると珍しく電話がすぐに繋がった。いつもおしゃべりばかりしているおばちゃんが、「このままお待ちください」、と言って受話器を置いたようだが、そのまま周りの声やら音が聞こえ、待つこと2分...忘れられた?2分あれば、直接診療所へいける距離なのに!結局かけ直したら、もう繋がらなくなってしまった。ひどすぎる!

 

いちかばちか、ドクターに直接聞きたいことをシンプルに書いて、whatsAppでメッセージを送った。待つこと30分、1時間...未読のまま。再び、受付に電話を入れると、今度はテキパキ回転の早いおばちゃんが、事情を察してくださり、今ドクターは診療中だけれど、必ず折り返し電話を入れてもらうので、待っててくださいね、ということだった。

 

ドクターから電話。女医さんは、自転車事故の時、非常に親切丁寧に診てくださった。がコロナに関しては、もう慣れたことなのだろう。「今日(陽性が判明した日)から7日間自宅隔離。8日目に薬局で検査。その後、通常通りの生活に戻れます。」ということだった。5日じゃないんですか?と聞くと、ばしっと「7日デス!」と言われてしまった。ころころ事情が変わるが、ロンバルディア州のサイトを見ると、陽性患者は陽性となった日から10日間隔離。ワクチンのブースターを打ったもの、または2回目接種から120日以内のものは7日間隔離。翌日、どこそこで抗原検査を受ける、と書かれてあった。また女医さん、仕事を休むなら病欠証明書も出しておくわね、といってそのままwhatsAppに送られてきた。仕事が早い!!

 

これから7日間お籠り決定。週末に何かと大事な用事が入っていたが、もうどうしようもない。家でやれていなかったことをしよう。そしてゆっくり寝よう!と思ったら、気持ちが楽になった。

 

何はともかくこんな軽い症状でいられるのも、ワクチンのおかげであろう。

 

考えてみれば、すごい咳をしていたパパさんも確実に陽性なのでは?では立会い出産はどうなってしまうの?隔離は?ツインズたち?疑問が思い切り巡り巡ってきたが、あまり聞いても申し訳ない。仕事とはいえ、必要としてくれている人の顔が目に浮かぶ分、申し訳なさと、言いようもない焦慮、そして一種の諦観を抱いた。

 

午後にパパさんにメッセージを送ると、ママさんの陣痛はまだ始まっていないとのことだった。

 

...続く。