干し柿づくり | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

image
 
母はここ数年干し柿を作っている。
 
季節になると愛媛JAから柿を取り寄せ作っているが、ここ数年近所の人や母の友人達も作りたがりで今年は70キロをオーダーしたそうだ。
 
父は存命中、まだ若く仕事をしていた頃、よく母のパウンドケーキをお茶の時間に同僚と食べるからと言って、数本作ってもらっては会社に持っていっていたのを覚えている。私も好きだったので、えー持って行っちゃうの?と思ったものだ。
 
そして干し柿も自分は作らないのに親戚中に送りまくり、家庭用はほんの少し。父は手伝いもしないのに、作る母が少し気の毒でもあった。苦笑
 
余談だが父が唯一作るのは、お正月の松前漬けと出身地である岩手の名物であるくるみ餅だった。
 
松前漬けは塩分が多く、亡くなる10年前に心筋梗塞を患ってからはやめてしまったが、くるみ餅は私にとっても思い出の味である。
 
くるみをすり鉢ですり、砂糖と塩ひとつまみを加えよく混ぜ合わせ、出涸らしのお茶で薄め最後にお醤油を加えたものを餅に絡めて食べるのだ。
 
またまた余談だが、私は柿は好物と言うほどではない。と言うのも、私が育った土地は柿が生まれたと言われるほどの場所で、幼少期から柿の実の青臭さ、熟れて路上に落ちる酸っぱいような腐った臭いが半トラウマなのだ。苦笑
 
話は基、今回横浜に住む母の兄である叔父夫妻が手伝いに来てくれたようだ。
 
実家の分は30キロ。全部で80個。始めに、へたを取り、縦に皮を剥き、一本のひもに2個結び、熱湯に5秒つけ、竿にかけ10日位外に干すのだそうだ。
 
それが2-3日すると、シワが出て来て、少しすると、柔らかくなってくると言う。毎日揉むと甘さが全体に広がるそうだ。途中天気によっては屋内に入れたり出したり作業が大変だそうだ。母は2週間で取り込んだそうだ。枝を落としてしまったものに関してはネットに入れて干すのだそう。取り込んでジップロックに入れ冷蔵保存。冷凍庫にいれる人もいると言う。
 
柿を30キロオーダーした近所の人は、直前になって、買った方が安いと人に言われ、躊躇し始めたそうだが、自分で作るその時間や手間がいいのではないか?
 
ちなみに、送料込みで10キロが3500円、30キロで7500円。決して安くはない。
 
だが、たとえそれが自己満足であれ、丹精込めて作れば、それは愛おしく美味しく感じられるものだ。
 
丁寧に生きるとはそういうことではないか?
 
冷蔵保存したもの。黒くなってきているが、非常に甘いのだそうだ。だんだん粉を吹いてくる。
 
冷凍保存したもの
 
とにかく甘く美味しく出来たそうだ。1-2個くらいだったら食べたかったな。