昨年は日本の秋を堪能したが、流石に柿が生まれた町(村?)という地名なだけにこんなにあちこちに柿が溢れているんだ!と驚いたくらいだ。
柿は、弥生時代以降に桃や梅、杏などと共に栽培種が大陸から伝来されたと考えられおり、1214年、上記私の育った川崎市麻生区にある王禅寺で、偶然発見された柿の一種”禅師丸”が日本初の甘柿と位置付けられているそうだ。
ところで、柿は大雑把に言えば、濃い橙色のように感じるが、しかし、どうも鮮やかさよりも、哀愁、侘しさを感じてしまう。
太陽に艶やかに照り輝く、よく熟した柿の実のような色に晩秋の風景が重なるからだろうか。
奈良時代の『正倉院文書』((727年-776年に作成)によれば、古くから柿は日本人に親しまれてきたことがわかるという。
明るい橙色は、江戸時代の流行色の一つだという。色名は歌舞伎役者、大和屋の三代目、坂東三津五郎が好んで用いたことに由来し、女性に好まれた色のようだ。優しげで陽気な色合いが心を朗らかにしてくれる色。
余談だが、柿の学名は"Diospyros Kaki"。"Dios"とはラテン語で「神の」「神聖な」、"pyros"「小麦」「与えられる物」という意味で、"Diospyros" =「神から与えられた食べ物」というような意味となる。
風情というのは、日本古来から存在する美意識の一つだ。四季が作り出す、ものの中に感じる美しさや趣、情緒を心で感じるということは、大きな恵み。日本の気候にあった、日本人だからこそ感じられるものがあるというのは、誇りでもあると思う。
柿の色と共に深まる秋の美しい風景を感じさせる色が沢山。ああ、日本の秋が恋しい。









