香りの記憶 〜 その4 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

先日自転車に乗っていた時、またまた金木犀の香りが漂って来た。
 
その時、いきなりある記憶が蘇った。子供の頃販売されていたロッテのガム"Eve"(イヴ)は金木犀の味というか香りだったんじゃないだろうか、と。
 
下手したら4-50数年ぶりの記憶かもしれない。
 
イヴは、昭和47年(1972年)発売のガムで、香水味だったのではないか?けれどなぜか薔薇の香りと思っていたのだが、調べてみたら、他のお花シリーズと一緒に出たらしく、それが”Dona”(ドナ)のバラ味だったようだ。
 
 
匂いが漏れないようセロファンでパッケージされており、ゴールドの箱を開けると華やかな香りが溢れ出し、板ガムを口に入れると口中にその香りというか、味に包まれた記憶。とは言え、覚えていなかったが、包み紙には花言葉が書かれていたらしい。
 
当時は子供だったこともあるが、その味の香料に金木犀が加えられていたと気づくはずもなかったのだが、先日自転車に乗っていた時に感じた香りで確信を持った。
 
そうだ、そうだ! 金木犀、オレンジの花に、バラなどの花の香りがブレンドされている!
 
そして、イヴは金木犀繋がりで「桂花陳酒」の味なのだ!
 
「桂花陳酒」は、白ワインに金木犀の花を3年間漬け込んだ中国のお酒で、楊貴妃が好んだと言われている。若い頃よく飲んだが、そう言えばこれまたイタリアに来てボトルを見た記憶がない。もう自分で作ってしまおうか?笑
 
余談だが、かつてはトイレの芳香剤と言えば金木犀であったが、今やラインナップから消え、ラベンダーやら柑橘系に変わったようだ。
 
香りと脳の関係であるプルースト効果と言うのは、非常に興味深い。嗅覚からインプットされた情報は、喜怒哀楽をつかさどる大脳辺縁系という脳の部位へ信号を送り、そこにある海馬や扁桃核が反応を起こすらしい。海馬は記憶の保管庫のような役割を持っており、匂いを察知するとほぼ同時にその該当するファイルを見つけ出し、その時に感じた喜怒哀楽や好き嫌いの感情までもが呼び起こされるという仕組みなのだそうだ。
 
たまに家でお線香を焚くと、それが白梅の香りであろうと、ふと部屋にお香の独特な匂いが残るのだろうか?子供達が、家に入ってきて???お墓の匂いがする!といって騒ぐことがある。笑 それも彼らの記憶の中の匂いなのだろう。父が亡くなるまで実家には仏壇はなかったので、子供達がお線香の香りといえば、お墓参りか法事しかない。
 
特に幼少時代に感じた匂いの記憶というのは、体に染み付くものなのだな... 面白い。