挨拶 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

先日、イタリア人の空手仲間に電話をしたら、いきなり「お願いします!」と言って電話に出てきたから、びっくりしたし大笑い。

そっかー、私からの電話と言うのは多分携帯電話のスクリーンに名前が出てわかったのだろう。そして、道場に入る時の挨拶を即座にしてくれたのか?

いきなり話は逸れるが、武道において、道場や試合場に入る時、礼をするのは、「道場を使わせて頂きます」という感謝の気持ちからだ。稽古を付けてくれる指導者や先輩、自分を向上させてくれ

る対戦相手に「お願いします」と敬意を表し、終わると「有難うございました」と感謝し、頭を下げる。それは

形式的なことだが、反復によって心身に刻みこむのが武道の稽古。感謝の気持ちを持つことで、自分が自分ひとりの力で生きているのではなく、生かされていることに気付く。そうやって人は謙虚になるのではないだろうか?


毎週通っている道場で、私の前の時間帯の稽古が終わって出てくる門下生一人一人に「お疲れ様でした」と声をかける。挨拶が戻ってくるのは日本人か付き合いのあるイタリア人だけ。無言どころかこちらの顔さえ見ない人が数人いる。武道の挨拶って一番重要なんじゃないかなあ。

話は基、上記の友人、電話を切る時は、道場を出る時のように「有難うございました!」とでも言うのか?と構えていたが、今度は「今日は!」と言った。思い切り意表を突かれたー!爆 

日本人でも、日本語→外国語にして変な表現になることは多いので、その逆も大いにあり得る。しかも、時間によって使い分ける挨拶は慣れるまで難しいのかもしれない。

また、道場外での場で、しかも空手とは一切関係のない方に「オッス!」と挨拶をして来たイタリア人女性がいたけれど、あなた達そう言う挨拶の仕方教えているの?と在ミラノの日本人の方に嫌味?を言われたことがあるが、きっとそのイタリア人は日本人に対して敬意を示したつもりだったのかもしれない。

ところで、イタリア語も昼間と夜の挨拶は異なるが、「チャオ」のように時間構わず、会う時、別れる時に使える言葉は便利だ。とは言え、目上の人や初対面の人にはそうそういきなりチャオは使わない。

シッター先の双子たちに、チャオを教えてもなかなか、手をにぎにぎするジェスチャーができずにいたので、「バイバイ」を教えたら、早速私が帰宅する時や、両親がリモートワークとはいえ、仕事に入るため別の部屋に移動する時、バイバイ!と言って手を振るようになった。

しかし、私が朝家に到着しても、両親たちが休憩で仕事の合間に私達がいる部屋に出て来ても、バイバーイ!と言う。うーんニュアンスが違うんだよなあ。

そういえば、以前も書いたことがあるがよく行くメルカートのバングラデシュ人の屋台では、日本人を見かけると「もしもし!」と声をかけてくる。私に至っては、「もし」だ。

それはなぜかと言うと、彼らにとっては「Hello!」と挨拶しているわけだが、誰が教えたのか?それともGoogle翻訳などで間違った答えを覚えてしまったのかはわからないが、ハローはハローでも電話の受け答えのハローだったわけだ。爆 何度も説明して、それは違うよ、と言ったのだが。時に「コニチワー」と言うが、時に「モシモシー」なのだ。もう最近は面倒なので何も言わないことにした。笑

同じ挨拶でも、文化背景が異なるとここまで意味合いが多様化するのだなあと思う今日この頃。