重陽 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

今日、9月9日は「重陽」、別名「菊の節句」の日。
 
仕事に向かう道すがら、スーパーの店先で菊が並んでいるのを見かけた。
 
 

ところで重陽とは、字の如く「陽が重なる」という意味で、古来中国より伝わったもの。中国の陰陽思想では奇数を縁起が良い「陽の数」とし、その中でも一番大きい数「9」が重なる9月9日を大変めでたい日としたのだと言う。


一方、「陽」の気が強すぎて不吉なことが起こりやすい日ともされたことから、邪気を払いつつ、無病息災を願う節句の風習が行われるようになったのだそうだ。

 

菊は古くから「仙境に咲く霊薬」として、邪気を払い長寿の効能があると信じられていたと言う。重陽の節句では、菊の香りを移した「菊酒」を飲んで邪気を払い無病息災や長寿を願うのだそうだ

 

日本では、平安時代の初めに宮中行事の1つとなり、菊を眺める宴「観菊の宴」が開催されたり菊を用いた厄払いなどが行われたりした。また、時代とともに菊の風習は庶民の間でも広がり、江戸時代には五節句の1つとして親しまれる行事となった。

 

また、重陽の節句は作物の収穫時期とも重なるため、栗ご飯を食べてお祝いするようになったことから、「栗の節句」とも呼ばれることがある。数日前、ニアミスで栗おこわを炊いたが、微妙に甘かったせいか誰も食べず...ちっ。

 

さらに、「くんち(九日)に茄子を食べると中風にならない」という言い伝えから秋茄子を食べる地域もあるという(ニアミスでこれまた前日に食べた。)

 

重陽の節句は茄子料理を菊と一緒に食べ、不老長寿や無病息災を祈る... 考えてみれば、五節句は、1年を通して自然の恵みに感謝しながら旬のものを取り入れ、健康を願う人々の思いが詰まった伝統的な行事ということがよくわかる。

 

不老長寿、無病息災。

 

とはいえ、現代は新型コロナ感染の脅威にさらされている。コロナ感染に対してリスクの高い持病と既往症は、第1位が腎機能障害、次に、心疾患、そして脳血管障害。コロナは肺の病気であるにもかかわらず、なんと、心臓や脳の血管の持病がある人のほうが命を落としやすいようだ。また、糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病もかなり関連している。外出すれば感染リスクにさらされ、家に閉じこもって運動不足になれば生活習慣病が忍び寄る...日頃の健康管理の大切さが身にしみる。

 

画像は今日の東京タワー。重陽の節句に合わせて、24時まで青・赤・白・ピンク・黄・緑の6色に輝いていたそうだ。