ハラタツ 蚊の大量発生 〜 その6 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

先日友人から「耳年齢」なるものが送られて来た。

 

 

試してみたら、40代までははっきり聞こえるが、30代は無理だった。

 
友人曰く、20代前半までにしか聞こえない「モスキート音」と言うのがあるそうだが、この耳年齢チェックを19歳のお嬢さんに聞かせたら「うるさいから止めて!」と言われたけれど、私よりちょっと上の友人にも全く聞こえなかったと言う。
 
このモスキート音17000キロヘルツの超高音のことをいうらしい。ちなみに蚊は1秒間で約350〜600回ほど羽ばたいており、この羽ばたく時に出る音は300〜600ヘルツなのだそうで、部屋に入った途端、蚊が羽ばたいていればすぐにわかるし、耳鳴りのように聞こえまくるのに、なぜモスキート音はある年代にしか聞こえないのだろう?
 
音を察知する内耳の「蝸牛」という、文字どおり蝸牛のような器官の中にある「有毛細胞」は位置によって高音と低音に反応する場所が異なるそうだが、高音を察知する有毛細胞は損傷したり死滅しやすく細胞数が減ってしまうと元に戻ることはないという。
 
余談だが、学生時代、KDDのバイトをしていたことがあり、日本全国のKDDの顧客の請求を発送する手続きが主であったが、定期的にKDDの研究所の密室にこもって、このような音聞き分けるバイトをしていたことがある。30分聞いて30分休憩の繰り返し。聞いた音を当時の大きなコンピューターの画面に数値として入力していくのだが、だんだん眠くなり、意識が遠くなるような、体が宙に浮いているような不思議な体験だった。
 
話は基、もう何度も書いているが、今年はやたら蚊が多い。特に朝方、あのブーンという音で目がさめるが、日中でも編み物をしていたり、PCに向かっていると耳元にブーンとやってくる。バルコニーに出て、ふと足元をみても黒いものが寄ってくるのが見える。とんでもない夏だ。
 
ところで最近、あるサイトで、感染症対策として雌の蚊の不妊を引き起こす細菌に感染した雄の蚊を大量生産する試みが中国で進んでいると読んだ。つまり、不妊化された雄の蚊は人を刺したり感染症を拡散させたりはしないというのだ。
 
蚊を根絶させる研究は今始まったことではないだろうし、目先的には嬉しいが、本当にそれは良いことなのだろうか?と考えた。
 
蚊は地球の歴史上数億年に渡るというが、蚊を絶滅させたら生態系に影響がでないはずがない。蚊の幼虫であるボウフラを餌とするものも多く、それが減ってしまえば、どうなるのだろう?
 
蚊を媒介として多くの命を奪うマラリアやデング熱などもあるが、蚊がいなくなればそれを防げるわけだが、逆に人口がぐっと増えてしまうこともあり得る。発想的に、命が奪われないことを否定するのか?という気もしてしまうが、2017年 のWHOのデータによればマラリア罹患死者数は43万人。
 
しかも、それはアフリカ大陸に多いのだが、その急激な人口爆発に見合う現地での産業やインフラ・公共サービスの整備・成長が間に合わなければ、貧困層が増加しスラム化、衛生面の悪化、各国内及び国家間も不安定な情勢になってしまうことだろう。物事はなんと表裏一体であるのだろうか。
 
そしてまた、数年前、あまりにも暑くて蚊が少なかったのに、今年は暑くても蚊が多い。考えられるのは湿気の関係か? 
 
つまり地球の温暖化による脅威だろう。暑い日が続き、雨もよく降るようになる。小さな生き物であっても、人間に与える被害はとても大きく深刻だ。
 
この夏は、やたら蚊に悩まされ、蚊について考えさせられている。苦笑