コロナウイルスと大気汚染 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 
ヨーロッパで最も空気が汚染されている街ワースト10が欧州環境機関(AEA)によって発表された。
 
まずは、空気の質の面で最もクリーンなヨーロッパの3都市はウメオ(スウェーデン)、タンペレ(フィンランド)、フンシャル(ポルトガル)。
 
そして、最も汚染された3都市はノビー・サツ(ポーランド)、クレモナ(イタリア)、スラヴォンスキー・ブロッド(クロアチア)。ワースト10のうち4都市がイタリアなのだ。クレモナ、ブレシア、ヴィチェンツァ、パヴィア。個人的にクリーンなイメージがあっただけに唖然。ミラノの空気が悪いのは理解出来るのだが...。
 
上記画像はイタリアの衛星Paolo Nespoliからの衛星映像。(イタリア半島を横にして、左側が北部イタリアとなり、パダーナ平原辺りがスモッグにすっぽり覆われているのがよくわかる。)
 
 
また、こちらは、パダーナ平原上空から。平原の北側はベルガモ、ブレーシャ、ヴェローナ、ヴィチェンツァの諸都市を結ぶ線、南側はアレッサンドリア、ピアチェンツァ、パルマ、モデナ、ボローニャ、リミニの諸都市を結ぶ線で囲まれ、その間を流れるポー川に沿ってパヴィア、クレモナ、マントヴァ、フェラーラなどの都市がある。
 
大気汚染が著しいのはまさにこの地域となる。
 
なぜミラノではなく、農場地区であるパダーナ平原なのか?
 
驚いたことに、大気汚染の一番の原因は農業なのだという。パダーナ平原は家畜農場がイタリアの中でも特に過密しているところだ。
 
汚染は堆肥や化学肥料から発生するアンモニアが、大気中でほかの汚染物質(車の排気ガス、工場などによって生産された酸化窒素yあ硫酸塩を含む)と反応して直径2.5ミクロン(1立方メートル当たり10マイクログラム/m3)の微小粒子を生成する。
 
話は前後するが、AEAの調査は、地図上の323都市のうち、127は良好と分類された大気質を有し、世界保健機関(WHO)が設定したPM2.5を越す都市がワーストランキングしているというわけ。 ワースト1位のポーランドのノビー・サツ、27.31粒子状物質の濃度)であり、クレモナ(25.86)、ヴィチェンツァ(25.58)、ちなみにミラノは、20.13、ローマ12.94とあった。
 
とにかく、大気汚染が深刻な場所には、慢性疾患の患者も多く、新型コロナウイルス感染症が重症化しやすいと言う。調査でも農業で必要とされている窒素から心臓疾患や呼吸障害の主要原因となる微粒子物質が排出されることが分かったという。
 
そうすると、すべて合致する。交通と産業活動がほぼ完全に停止したにもかかわらず、大気汚染はさほど改善せず、そして新型コロナウイルスでの犠牲者が多かったのは北イタリアが断然的に多い。
 
そして、コロナが基礎疾患を持つ人の間で特に重症化しやすいことは既に分かっているが、大気汚染はこうした基礎疾患を悪化させる要因の1つになるのだ。
 
ワクチン研究が世界中で進んでいるが、それとは別に、大気汚染の原因の追究、そしてどうしたら空気が綺麗になるか、を考え、実行することで大気汚染の軽減にもつながる。改めて目に見えない大きな問題が隠れていたのだと知った。