Humana Vintage 〜 ヴィンテージ中古服 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

仕事先に行く途中ヴィンテージショップがあり、帰りがけに通るといつも入るために、列になっている。定期的にセールをやっているようで、3月はじめの全品5ユーロの時は、このコロナ禍でありながら、それはそれは長蛇の列であり驚いた。
 
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ところで、ヴィンテージといって思い出すのは、ヴィンテージワイン。しかし、ただ単に「年代物」という意味で用いられているわけではない。葡萄は収穫年ごとに出来が異なり、当たり年もはずれ年もある。ヴィンテージと呼ばれるのは、良質のブドウが収穫された、特別な当たり年。その年のブドウで造られた極上物が「ヴィンテージワイン」となる。
 
しかし、ファッションのヴィンテージは、単なる古着、というのではなく、当時の創り手が生み出した、優れたファッション遺産を指す言葉だ。
 
ちなみに、デッドストックという言葉があるが、それは昔の商品が未使用のまま保存されていたものを示す。もちろん、その中でヴィンテージもありうる事だろう。
 
子供達が古着が好きで、特に長女がヴィンテージショップを回っており、その襟何?その肩パッドいつの?というものを良く着ているが、こんなにも若者達に人気とは知らなかった。
 
このHumana Vintageショップは98年にイタリアでオープン。60年代から90年代にかけたヴィンテージ古着を全て寄付という形で収集し、その収益金は世界南部のHumana人道的プロジェクトを支援しているという。(まあ、洋服は全て寄付とはいえ、値段設定もそこそこで、支店は場所的にもよく家賃や人件費を思うと、どれだけ支援しているのだろうか?とは疑問に思うが...)
 
現在、イタリアには、ローマ、ミラノ、トリノ、ボローニャで9店。そのうちミラノには3店ある。
 
先日、次男の買い物に付き合い、通りがかりで見つけたHumanaのナヴィリオ店に入ってみた。年代物のリーヴァイスなどもあったが、サイズが合わず断念。年代物のシーツなども置いてあった。
 
商品は、古ければ古いほど良いという訳ではなく、デザインや素材、ムードなど現代とはまた異なり、そしてきっともう再現不可能のような仕立てや技法、布地などが備わっているものを探すのが面白い。
 
そして、昨日仕事の帰りに、毎日通っている店舗が空いていたので、何気に入ってみた。全品30%オフだった。
 
本来はワンピースとジャケットのセットになっているスーツだったが、ワンピースの方は私にはサイズが小さめでしかもミニスカートだったので、ジャケットだけ購入した。22ユーロの30%オフ。15.4ユーロ、日本円に換算し、ちょうど2000円くらい。
 
image シルクで裏地も付いている。
 
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タグは付いておらず、どうもオーダーメイドのような代物。ボタンの位置が少しきつく、一番上だけ付け直したが、非常に綺麗にできており、真似して長めに引いて、巻き付けるようにしてみた。また鍵ホックをかける部分も糸にステッチした状態になっており、新たな場所に真似して縫ってみた。


以前、京都の着物の古着屋さんで絞りの羽織を購入し、それでお直しをする友人にAライン、七分袖のジャケットにリメイクしてもらった。非常に気に入っていたのだが、あまりにも古い生地だったので、動くたびに、ビリビリに切れてしまい、はじめは同じ布を当て、修繕していたが、どうしようもなくなってしまい処分した。友人は帰国してしまったが、私用のサイズの型紙は残してもらっていたので、いつか作りたいと思っていたが、まさに同じようなジャケットだ。強いて言えば、襟の形が違うだけ。

 

ヴィンテージは形や、生地、ディテールなどに、当時のおしゃれ感覚が落とし込まれているから、コーディネートに1枚加えるだけで、装いに深みが加わる。

 

普段からブランドには全く興味がないし、流行もさほど気にならないが、現代のファッションとは異なるムードのヴィンテージは、他の服の持ち味を引き立ててくれるので面白い。
 
ヴィンテージって実はタイムレス。こういった逸品に出会えるのは、ヴィンテージショップ巡りの醍醐味なのかもしれない。