ユニコーンとノアの箱舟 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで33年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 
イタリアの子供向けの歌には,動物の歌が多い。
 
そして、日本同様手遊びのジェスチャーを兼ねた曲があり、我が家の子供達も幼稚園時代、よく歌っていた曲。
 
🎶Ci son due coccodirilli ed un orangotango...チソンドウコッコドウリッリ エドウノランゴタンゴ... 両肘の内側を合わせて手の平を合わせ、ワニの口を真似ながら歌うので、てっきりワニの歌だとばかり思っていた。
 
...が、歌詞を見ていたら、全然違うではないか!
 
 

Rit.)
Ci son due coccodrilli
ed un orangotango
due piccoli serpenti, un'aquila reale
il gatto, il topo, l'elefante
non manca più nessuno:
solo non si vedono i due liocorni

二匹のワニと一頭のオランウータン、

二匹の小さな蛇と、ワシ、猫、ネズミそして象。

誰も忘れてはいない。ただ、二頭のユニコーンが見当たらない

 

1)Un dì Noè nella foresta andò
e tutti gli animali volle intorno a sè:
"Il Signore arrabbiato il diluvio manderà...
la colpa non è vostra, io vi salverò".

森の中の神ノアが出かけた

そして、すべての動物は彼の周りに呼び、

「怒られた主は洪水を起こします。

それはあなた方のせいではないので、私はあなた方を救います」

 

Rit.)
 

2)E mentre salivano gli animali
Noè vide nel cielo un grosso nuvolone
e goccia dopo goccia a piover cominciò:
"Non posso più aspettare: l'arca chiuderò".

そして、動物が舟に上る際、

ノアは空に大きな雲を見た。

ポツポツと雨が降り出した。

「もう待つことはできない。箱舟を閉めます。」

 

Rit.)

 

3)E mentre continuava a salire il mare 
e l'arca era lontana con tutti gli animali
Noé non pensò più a chi dimenticò:
da allora più nessuno vide i due liocorni.

そして、海を渡り続けている時

箱舟は全ての動物と遠く離れていた

ノアはもはや忘れた人のことを考えなった。

それ以来、誰も二頭のユニコーンを見ていない。

 

ノアの箱舟の話だったんだ!と初めて知った。そしてユニコーンとどういう関係があるのか不思議に思い調べ始めた。

 

「ノアの箱舟」とは旧約聖書の創世記に出てくるノアの洪水の話。

 

神は地上に増えた人々の堕落を見て、洪水を起こし、すべての生き物を滅ぼすが、ノアと妻、息子3人とその妻、またつがいの動物たちは救われた。神は契約を立て「二度と洪水によって肉なるものがことごとく滅ぼされることはなく、洪水が起こって地を滅ぼすことも決してない」(創世記9・11)と言わた。そしてその契約のしるしを「虹」としたのだ。

 

創世記にはユニコーンは出てこないが、ポーランド民話や小ロシア民話によるとユニコーンは飼い馴らしのきかない、たいへん凶暴な、無敵の、それゆえに自らの力を過信する傲慢な野獣だったのだと言う。彼らはその高慢な性格ゆえに、自らの力を信じ、「泳いで渡ろう」としたのだろう。

 

 

こちらは、1576年に印刷されたトビーアス・シュティマーの木版画による絵入り聖書。ユニコーンのつがいがその高慢さから、箱舟に背を向けて、あとに残る様子が描かれている。

 

このような内容の曲を明るく、ジェスチャー付きで、しかも子供向けに歌っていたとは非常に驚いてしまった!

 

余談だが、40日40夜続いた洪水の後、ノアはカラスを放ったが、とまるところがなく帰ってきた。さらに鳩を放したが、同じように戻ってきた。7日後、もう一度鳩を放すと、鳩はオリーブの葉をくわえて船に戻ってきた。さらに7日たって鳩を放すと、鳩はもう戻ってこなかった、と言う。

 

そういえば、「隔離」「検疫」のことをイタリア語では,”Quarantena",40日を意味する。18世紀の資料によれば、ヴェネツィアの港では到着した船舶の出港地に疫病の流行が認められなくても毛皮、毛織物などの危険な品目は荷ほどきし、干草の上に置き、40日間、毎日、表裏をひっくり返したうえで持ち主に引き渡す。船内に患者を発見した場合は症状のない船員などの上陸を一切禁止し、40日間隔離し、経過を観察する...というのが、由来である。

 

傲慢でわがままなユニコーンと柔和さをもたらす鳩。40日つながりで、ノアの方舟とコロナも繋がるが、平和を象徴するシンボルである「オリーブの枝とハト」にちなみ是非とも、平和をもたらして欲しい。