ミラノは決して治安がいい街とは言えない。
とはいえ、このコロナ禍、在ミラノ日本国領事館によれば、邦人観光客等が極めて少ない状況が続いており、被害報告も少ないと言う。
スリなどの犯罪者にとっては、年末年始の稼ぎ時もロックダウンで、商売上がったりだったのではないか?
と言ってもこのコロナ禍で治安はさらに悪化しているようで、強盗致死や強姦などの凶悪事件が断続的に発生しているようだ。
2週間前の木曜の夜、家の前に駐車していたお隣の車が盗難に遭い、数日後郊外に乗り捨てられていたという。
また、同日、やはり同じアパートの住人の車が家の前で車上荒らしにあったという。我が家は近所にボックスガレージを借りているが、日中は家の前に止めている。ボックスに戻すのが遅い時間であれば被害にあっていたかもしれぬ。我が家の前の通りは夜でも犬の散歩などで人通りがなくはないが、やはり油断は禁物だ。
以前は、教会の行事などで夜に出かけることが日常茶飯事であったが、かなり遅い時間であっても男性2−3人組で歩いているのをよく見かけた。偏見ではないが、常にアラブ系だ。単に男同士の散歩なのか?それとも泥棒の下見なのか?すれ違う時は、常にドキドキしてしまう。
ところで、今日も木曜日。木曜メルカートの日だ。
魚と野菜を買いに歩いて出かけた。出かける途中、長男からビデオチャットが入り、その後、母とも電話で話したが、メルカートの人混みに入る際、電話は切って、カバンの中へしまった。
いつもの「もし〜!」と声をかけてくるバングラデッシュの屋台へ着くと、あれ〜〜?!友人と偶然会った。「今ここで、スリがあったんですって。気をつけたほうがいいって言われたの。」と彼女。その後、積もる話もあったのでバールでも行かない?ということになって、縦に並んで歩き出した。
本来は道路の真ん中にある駐車スペースに屋台が立つ。両端と真ん中に屋台が並び、その間を人が行き交うのだが、そうでなくても狭い歩道に、ベビーカーやらお年寄りの手押し車、ガラガラと引くショッピングカートの人が多く、まっすぐ進むのにも苦労する。
ある時、私の左脇から、前にいる友人の手前を右に横切った男がいた。その後私の右側後方を振り向き立ち止まったので、探しているお店でもあるのか?と思った。
が、あれ?変なところから手が伸びて前にいる友人のポケットに入った。すると携帯電話が出てきたのだが、一瞬、私の友人がポケットから携帯を取り出したのかと思ったが、どうもその腕の位置が変だったし、とりだした携帯電話が動く先の方向も私の位置からすると、それも変で異様な動きだ。しかし、あまりにもスムーズでスローモーションのマジックを見ているような気がした。
自分でも驚いたのだが、瞬間的に、その手首を掴み携帯を取り上げて”ho visto!!" 「見たわよ‼︎」と叫んだ。一瞬、やはりもしかすると目の前にいた人は友人ではなく、その人が自分の携帯をポケットから取り出そうとしているところを私が見間違えたのか?という迷いも横切ったが、振り向いた友人が「うわ〜〜っ私の携帯〜〜っ!」と叫び、更に私は声を上げて、見たわよ、見たわよ〜!と叫んだものだから、相手も失敗したと思ったのだろう。どうも私の背後に連れがいて、振り向いた瞬間、カモだ!とでも合図を送ったのだろう。やはり私の左側に移動しており、手渡すところ、私が先に気づいてそれを取り上げたのだった。
このアホめが〜!!
何も言えずに彼らは立ち去っていった。近くにいたイタリア人のおじいさんが、「よく気付いた。よくやった!」といって首を縦に振っていた。とはいえ、たとえ友人を助けても、私が何か取られていたら、これほど間抜けなことはないだろう。道から外れてバッグの外から自分の携帯電話とお財布を確認。
「いやだ〜。スリに気をつけてって言われた途端に狙われるなんて...」友人は気落ちしていたが、人混みは本当に気をつけねばならないし、ましてや携帯電話をポケットに入れるのは危険だ。
以前、ジプシーのスリの手口を録画したビデオを何度も見たが、彼らは腕先の動きが見られないように、新聞や上着で隠してそっと目をつけた人のポケットに手を忍ばせ、取ったものを何人もの仲間にリレー式で流してしまうので、盗難にすぐに気付いたところで、目の前の人が持っていなければどうしようもないのだ。
その後、50セントをもって近づいてきた若い外国人がいて、何か言われたが、わからない振りをしてその場から離れた。また、友人とバールに移動したが、ここでもジプシーが何か書かれた紙を差し出してきてお金を無心してきた。治安のよい日本で生活をしていると、自分は大丈夫、と他人事のように捉えがちだが、海外ではその考えは決して通用しない。
強盗やスリは、被害者から貴重品を突発的に盗むだけではなく、街中でめぼしいターゲットを見つければ、相手に気づかれないように尾行し、人の気のないところで襲われたり、行動パターンを調査されがち。特に歩きスマホや音楽を聴きながら歩くのは本当に危険だ。
メルカートには警察や市の職員も見回りに出ているが、それでもスリはいる。人々がコロナ禍の生活に徐々に慣れつつある中で、その日常に溶け込むようにスリや泥棒も近づきつつある。
家の外では常に周囲に注意を払い、また友人等との会話、携帯電話の使用等に夢中にならないようにしなければいけない。どうしても注意力散漫になる傾向があるので、戒められた気がした。
