ミラノに戻ってきて初めて、地下鉄に乗った。
駅のホームや地下鉄内に人と距離を保つようステッカーが貼ってあったが、逆に地下鉄内は立っている人が多く、また物乞いが通るたび、通路を避けたりするので、密で、換気もされておらず密閉されている感じがした。
そして駅のホームに、鼻を出しながら、マスクをしている人がいて、通りがかりのイタリア人のおじいさんが注意を促した。すると、「今までここには誰も通らなかったんだ」と言いだしたので、またおじいさんが「ルールはルールだ!」と言い返すと、「家にcovidにかかったやつなんていない!余計な御世話だ‼︎」と怒鳴り始めた。
人種差別は良くないが、アラブ系の男性だった。私もカッとなって注意したことで、言い合いになり、挙句の果てには、暴力を振るわれそうになった経験が何度もある。実際公園にある大きなゴミ箱が飛んできて怪我をした事もある。理不尽極まりない。これは決して身勝手な正義感だとは思わないが、時にして負の連鎖を巻き起こすことがあるから、正しいことだと思っても言動には注意が必要だ。
おじいさんに、相手にしないほうがいい、というジェスチャーをした。おじいさんは不満げの様子だったが、別の方向へ歩いて行かれた。
ところで今年は、37年ぶりに立春が前倒しになった。
既に春の気分。(イタリアでは3月21日の「春分の日」をもって「春」と言う人が多いが)
立春は二十四節気の一つ。「寒さがあけて春に入る日」いわば春の初日ということ。立春を基準に、「八十八」や「二百十日」など様々な決まりや節目の日が存在している。
季節の花として、チューリップやフリージア、蕗の薹、スノードロップなどが挙げられるが、個人的には、やはり名前的にプリムラが立春のイメージがある。
プリムラは、サクラソウの総称でもある。属名の学名「Primula(プリムラ)」は、ラテン語の"primos(最初の)"を語源とし、早春に他に先駆けて咲くことに由来する。
嫌な事もあれば、良い事もある。どちらかだけという世の中は存在しない。陽も徐々に長くなってきた。コロナの夜明けは近い、と信じよう。
