散歩DE健康 〜 その2 春隣 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

昨日、お昼過ぎにミサから帰宅すると、空手仲間の友人から「昼食後一緒に散歩しない?」とメッセージが入っていた。
 
一人でふらっとどこか歩こうと思っていたので、いいよ〜と返事をすると、3時に昨年イタリアでロックダウンが始まる前に、屋外で空手の稽古をしていた場所で待ち合わせ、ということだった。
 
 
ミラノの中心地から東に位置する“パルコ・デッレ・カーヴェ“だ。
 
我が家からは比較的近いが、駐車場は5箇所あり、出入り口も数箇所ある。
 
えっ集合場所だった駐車場じゃなくって、稽古した場所で待ち合わせ?さて、あれはどこだっただろうか? 人にくっついていたから、記憶もあやふやだ。しかも私はとんでもない方向音痴なのだ。(地図があっても地図をくるくる回しながら歩くタイプ)
 
次男曰く、空手で稽古した場所なら、集合した駐車場よりマリクリ(我が家があるサンシーロ地域にある理数系高等学校)の近くだと言う。その方がありがたいが、いざ公園に入ってたどり着けるだろうか?
 
公園は過去に何度も行っているが、現地で、しかも森のような1,350,000平米もある公園内で待ち合わせとは、とんでもない挑戦だ。
 
 
マリクリまで自転車で行った。午後から晴れてきて、しかも昼食後。皆が散歩に出る時間帯だ。思っていたよりも人の出が多かった。しかし、前夜から雨が降っていたようで、道は泥沼化していた。
 
「今どこ〜?」友人から電話が入り、ご主人からも居場所が示された地図入りのメッセージが入った。彼らの居場所が分かっても私がどこにいるかわからない。苦笑
 
彼らは今、右側に池が見える、と言うがここには池が5つもあるぞ!
 
どうやって彼らの方向に行けばいい?携帯に自分の居場所を許可し地図を開けたら、徐々に自分が彼らに近づいて行っているのがわかった!
 
 
 
そんな時、おや?あの人は?お互いマスクにサングラスをかけていたが、もしや...と日本語で声をかけると知り合いのご婦人だった。彼女とは、最近ズームのあるミーティングにてお会いしたのだが、パートナーの方と日向ぼっこをされていたとおっしゃる。パートナーの方は初対面だったのでご挨拶。イタリア人と話し出すと話が長い...うわっここですれ違ったら大変だ‼︎ 「すいません、今友人と待ち合わせてて今私がどこにいるって言えばわかりやすいでしょう?」と聞くと、「すぐそこにボッチェ競技場があるから、そう言えば間違えることはないよ」、と言われた。
 
余談だが、”ボッチェ”とは、日本では”ボッチャ”と呼ばれるが、古代ギリシャの球投げで、6世紀のイタリアで現在の原型が生まれたと言われている。ボッチャは、重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障害者のために考案されたスポーツといわれ、パラリンピックの正式種目にもなっているのだ。
 
話は逸れたが、「あーあっちですね」、と指を指すと反対側から手を振っている人がいるではないか?手を振られたから振り返すと人違いだったなんて事は日常茶飯事なので、構えたがそれでもずっと手を振っているのでよーく見たら2人組。あー彼らだわ!やっと友人らと合流できた。
 
彼らが来た方向に戻りながら歩き出した。この10数ヶ月のお互いの近況報告。チャットではやり取りしていたが、やはり表面的な事しかしらない。
 
彼らは昨年入籍予定でパーティーまで企画していたのに、このコロナ禍で延期。彼らには既に大きな子供が3人いるし、生活自体何も変わらないのだが、ご主人である友人は一人っ子で数年前に母親を亡くした際、色々と考えることがあって、入籍しようと決めたと言う事だった。
 
ちなみイタリアでは離婚もそうだが、結婚も手続きが面倒で時間がかかる。離婚に関しては、申し立てを提出し別居期間を置かなくてはならないのだが、イタリア全国離婚協会の調査によれば、このコロナ禍で、2020年の離婚申し立て率は前年度より60%も上がったと言う。余談だが、北イタリアと南イタリアでは北の方が南より離婚率が2倍多いと言う。
 
まあそう言う世の中で敢えて結婚の意思に相違なく、再び入籍の予定が決まったというからおめでたい事だ。パーティーはしないからね、と私が口を開く前に言われてしまったが。笑 
 
公園の南側に到着。そしてUターン。
 
池の辺で日本人家族を数軒見かけた。あら日本人だわ、と言って話しており振り向くと、あらまあ整体のN先生のお子さんでは!ふと横を見ればその先生が....まあこんなところで...ちょっとご挨拶した。
 

おしゃべりしながら歩いていたら、私が自転車を置いていた場所にたどり着いてしまった。あら、もう?じゃあまた半周する?と言われたので、じゃあ自転車を取ってくる!といって置いておいた自転車を押しながら、再び南の方向へ... 
 
家族の事、仕事の事、空手の事、友達の事、今後の事...話は尽きない。ふと、後ろから声をかけられ振り向くとまたN先生だ!移動の範囲がかぶってますね...といって笑った。
 
とはいえ、陽はほとんど沈みかけており、急に寒くなってきた。今度は公園で太極拳か棒術を一緒にやろう!といって別れた。
 
朝ぬれし 枝が光て 春隣
春近し 蕾輝く マグノリア
木々の影 池を巡りて 春隣
 
新型コロナウイルスの感染率を低い状態に保ち、ワクチンと治療薬をが完成するのを待ちつつも、春の訪れは気持ちを前向きにさせてくれる。あと、もう少しの辛抱!