父の他界から思いもよらず長い日本の生活となってしまった。
ミラノの家族の元へ戻る機会を探りながら、日本での現実にも目を伏せられず、やりきれない気持ちがあるが、母とこれだけの時間を過せたことは、父からの贈り物であり、世界を震撼させるこの事態のトリックだったのかもしれないよと、友人に言われ、何気に納得。
年末に長男が帰国し、私もバイトが終了、やっと落ち着き静かな年末年始を迎えることが出来た。
長男の帰国では、毎日厚労省からガイダンステープではあるものの、連絡が入り、体調に問題もなく自主隔離も終わろうとしている。
一方私の方は、イタリアの状況や日々増える日本の感染者数に政府はどう対処するのか?毎日航空会社や大使館等の発信する情報をチェック、毎日がドキドキ状態である。
利用する航空会社からは”Your destination country strongly recommends A RECENT NEGATIVE TEST FOR COVID-19” と来ていたが、三が日の関係上、検査するには制限があり、空港でのPCR検査はなんと38500円と高額。
現在イタリアから帰国中の友人たちとも情報交換。イタリアに出国前のPCR検査は義務ではないと確認。
イタリア政府は、日本からの渡航者(観光及びビジネス目的を含む)の入国を許可しているが、現在の状況は14日間の健康観察及び自己隔離、私的な交通手段のみの使用が引き続き義務づけられているのは日本と一緒。
乗り換え国によっては、入国前 48 時間以内に実施した(PCR 検査又は抗原検査の陰性結果を提示する義務があるが、これはミラノの空港でできるし、これを提示しない場合には、14日間の健康観察及び自己隔離等が適用。利用機のカスタマーセンター及び予約センターに電話し、現地での検査で大丈夫ですよね?そういう見解ですよね?いいんですよね?と何度も確認してみた。もちろん出発当日まではどういう発表がされるかは見逃せないのだが...
ところで、帰国する時はまさかこんなに長い滞在になるとは思いもせず、スーツケースもほぼ空状態だったが、思い切り荷物が増えてしまい、預けるスーツケースを追加した。
普段の渡航は子供達がいるので、自分たちの荷物に他に食料や雑貨類を分けて入れ、重量オーバーになることはなかったが、今回初めてその申請をし、空港のチェックインカウンターで申請するよりも、前もって依頼した方が安くなると知った。これも金額的に大きく驚いたものだ。
そしてついに荷造りを始めた。父の葬儀後父の遺品整理と共にアルバムも整理し、私が生まれた時に父が書いた命名の書や白黒写真の私の七五三の記念写真が出てきたので、これらを持ち帰ることにした。なるべく思い出に浸らないようにしてきたが、やはり再びそれらを目にして涙が溢れた。
荷造りがなかなか進まない。
今年84歳になる叔母が、もう私には二度と会えないかもしれない、と電話をかけてきた。いやいや、そんなことないって!彼女の姉は既に90代で、その御母堂様も100歳を超えた長寿であったのだから!
そして、先日元旦ミサで、イタリア人の司祭に「ついにミラノに戻ります」と挨拶を交わすと、最後に“Arrivederci! ”と言われ、久々イタリア語を思い出した。笑
アリヴェデルチ。
Aは、「~で」「~に於いて」という前置詞、rivedereは、「再会する」という動詞。ciは「私達」という再帰代名詞だ。要するに、私達がまた会う時までの一時の別れの挨拶であり、”Addio!”永遠の別れではない。
さあ、荷造り、もう一踏ん張りだ。
画像は散歩中に見かけた山茶花。花言葉は、「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」。
時くれば いづれ散りぬるさだめとて 春を待つのか 路地の山茶花
路地の山茶花に、とうとう春に出会えたと思えるくらいの暖かな日差しが降り注ぎますように。
