無人の駅 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

最近、視聴障害者の駅での転落事故が増加している。
 
国土交通省によれば、全国の駅でホームからの転落や隙間に挟まる事案などは近年、3千前後で推移し令和元年度は2888件。視覚障害者のケースは64件発生している。同年度、ホームから転落して列車と接触するなどの人身事故は159件、視覚障害者4人が死亡、1人が負傷した。
 
相次ぐ事故を受け、国はホームドアの整備を推進していると言うが、今回はそのホームドアは設置されていたが、来年稼働の為、扉自体は開いていたと言う、なんとも居た堪れない事件が起きてしまった。
 
ところで、ミラノには、盲人学校があり、現在はわからないが、擬似体験をさせてくれるプログラムがあった。子供達が小さかった頃一緒に行ったことがあるが、それはもう衝撃的だった。
 
真っ暗闇の中、目は開けていても閉じていても同じ状態。とにかく声を出さないとこちらの存在には気付いてもらえない異次元に投げ出された感覚であった。
 
余談だが、ミラノでは、白い杖をついて歩いている人がいれば、誰かしらサーッと手を差し伸べ、一緒に道路を渡ったり、階段の上り下りをしたり、電車の乗り降りを誘導している光景を見かける。
 
新聞によれば、(日本は)コロナ禍で手助けを受けにくくなっている、と言うがコロナ禍が原因だろうか?
 
電車やバスの中で、足腰に問題があり、道端で立ち往生しているお年寄りをよく見かけるが、皆平気で素通りしている。
 
声をかけても「大丈夫ですよ」と断られるケースも多いが、気軽に声を掛け合える社会にならないものか?イタリアなんて声をかけようものなら「待ってました!」の如く会話が始まるのに、やはり国民性の違いか。
 
とは言え、最近では行列に並んでいて割り込みされたので注意したらいきなり殴られた。バスに乗り込み、支払いに手こずっていたら、「遅い!」と言われど突かれたので、注意したらボコボコに殴られた。(しかもバスの中で!)。あおり運転を注意したら、殴られた....そんなニュースばかり聞く。すべてコロナ禍が問題か?いやいや、そういう加害者は常に心がささくれだっているのではないだろうか?
 
周りに人が沢山いても誰からも注意を払われなければ、そこは無人の駅になってしまう。
 
目に見えていても見えていないものが多い世の中。心の目で、心の耳で感じる世の中になってほしい。