家の近所に気になる花がある。
画像ではピンクに見えるが、実際は白い、米粒のような沢山のつぼみがあり、徐々に開き始めた花からは黄色いおしべのようなものが見え隠れしている。葉がどうも南天のようなのだが、どうなのだろう?
南天は、冬に赤い果実が目立つことから、中国では灯火を連想して南天燭といい、また葉が竹に似ることから南天竹と名付けられ、これを音読みして和名がつけられたとされる。
日本では平安時代に中国から渡り、古来より鎮咳の生薬として、 縁起ものの木として日本で親しまれた植物なのだという。魔除けや火災よけの効果がある植物とされ、江戸時代には玄関先によく植えられていたそうだ。鬼門と呼ばれる南西の方角に置くのがよいともされている。
また、音が「難転」、つまり「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされおり、お赤飯に南天の生葉をのせているものを見たこともある。
6-7月に白い花を開花させ、秋に赤い実となる。ちなみに、花言葉は、『私の愛は増すばかり』『機知に富む』『福をなす」『よい家庭』。
白い花をつけた後に真っ赤な実をつける、この様子が、愛情が高まっているように見えたことから「私の愛は増すばかり」という花言葉がつけられたのだという。赤い実はかわいくて縁起がいいだけではなく、花言葉としても素敵。
ちなみに、この実を煎じて飲むと「咳止め」効果があるそうで、考えてみれば『南天のど飴』という商品もあるくらいだから、「のどあめ」の原料なのだろう。
また、葉には殺菌・防腐の作用があり、乾燥させてお茶として飲むことで、ものもらいや血尿にも効果があるそうだ。さらに、樹皮・根皮は胃腸病・眼病に効果的で、昔から薬用の木として重宝されてたのだそうだ。ただし、どの植物にも有毒成分があるように、南天の葉にも有毒成分となるアルカロイドが含まれているとのこと。特に咳を鎮める作用があるドメスチンというアルカロイドは、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こす恐れがあるとのこと。
南天の実になる花と思はれす 正岡子規
ちなみに南天の花は夏の季語だが、実のほうは冬の季語になるのだそうだ。
