職場のパワハラ、セクハラ、マタハラなどの、いじめや嫌がらせは今始まったことではないが、日本は割にハラスメント大国ではないか?と思うことが多々ある。
また、人種、信条、性別、社会的身分、障害、疾病等を理由とする差別表現、集団誹謗的表現...なぜ人は逆の立場の痛みを想像できないのだろう。一度ハラスメントが起きてしまうと、ハラスメントを受けた「被害者」は、下手すれば、人生を左右されてしまうほどの大きな影響を受けることになってしまう。生きる意欲や自信を失い、メンタルヘルス問題を抱えたり、その影響は計り知れしれない。
今やハラスメントは、個人の問題に留まらず、組織の問題として捉えなければならないだろう。
ところで、昨年5月に改正労働施策総合推進法が成立し、企業に対してハラスメント対策の強化が義務付けられていたが、この6月1日より『パワハラ防止法』が施行された。
まず、「ハラスメント(Harassment)」の定義として、直訳すると「悩ます(される)こと、悩み(の種)」を指す。つまり、嫌がらせ、いじめだ。
具体的なハラスメントの種類はたくさんあるが、相手の尊厳を傷つける、不利益を与える、または相手を不快にさせたり、脅威を与える行為であることが共通点。
またもうひとつの特徴として、たとえ悪意がなかったとしても、された本人が嫌な行為はハラスメントとみなされる点がある。
さまざまなハラスメント行為のうち、下記の3つが厚生労働省などによってその条件などが定義づけられている。
パワーハラスメント(パワハラ): 職場の人間関係や職務上の地位などの優位性を利用して、同じ職場で働く人に対し、業務の適正な範囲を超えて、肉体的または精神的な苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為。
セクシュアルハラスメント(セクハラ): 発言者や行為者本人の意図とは関係なしに、それを受けた相手が自身の尊厳を傷つけられたと感じ、不快に思うような性的発言・行動、またはその環境。
モラルハラスメント(モラハラ): 身振りや文書、言葉や態度などによって、相手の人格や尊厳を繰り返し傷つけ、精神的な苦痛を与えること。
ちなみに、パワハラの指針では身体的な攻撃や精神的な攻撃、人間関係の切り離しなど6類型に分けて、類型ごとに事例を示した。
身体的な攻撃……殴る蹴る、物で頭を叩く、物を投げつけるなど
精神的な攻撃……人格を否定する暴言を吐く、他の従業員の前で罵倒する、長時間にわたって執拗に非難するなど
人間関係からの切り離し……別室に隔離する、集団で無視する、他の従業員との接触や協力を禁止するなど
過大な要求……新卒者に対して教育のないまま過大なノルマを課す、私的な雑用を強要する、終業間際に大量の業務を押し付けるなど
過小な要求……役職名に見合わない程度の低い業務をさせる、嫌がらせで仕事を与えないなど
個への侵害……個人用の携帯電話をのぞき見る、センシティブな個人情報を他の労働者へ暴露する、家族や恋人のことを根掘り葉掘り聞くなど。
事業主はパワハラを防止するために自社でどのような方針をとるのかを明確にし、管理監督者を含める労働者に周知・啓発しなくてはならず、またパワハラの加害者に対して厳しく対処する方針や、懲戒処分などの対処内容を就業規則や服務規定に定め、周知・啓発しなくてはならない。
しかし、日本では、ハラスメントを平気で犯す人が組織のトップであったりすることも少なくないと思う。というのも、ハラスメントをするような人物であっても、仕事などほかの能力が高く、組織としては有用な人間であると考えられているからか?多少問題があっても、そういう人を組織が守ってきた事実もなきせずもあるだろう。例えば、営業成績がトップの人間が個人を傷つけることはいけないという“常識”よりも、組織にとって有用な人間は多少問題があっても守るという“常識”が勝ってきてはいなかったか?
パワハラが発生した際の企業側の対応は?
わざわざ法律を作らなければならないのも、悲しい現実だが、よりよい職場環境作りのために、職場ではお互いが思いやりの心をもってコミュニケーションをとることも重要だ。
競争社会のうちに起き得ることなのかもしれないが、意外にこういう人に強く出るタイプの人は、本来自分が打たれ弱いのかもしれないが...
私も職場ではないが、電話で延々と心を削がれるようなことを言い続けられた経験が何度もある。一時的に不眠になったり気分が落ち込んだものだ。一方的に相手の人格を否定したり、不快どころか攻撃し脅威を与えるような人に対しては、いたたまれなくなってしまう。
国、事業主、労働者それぞれがハラスメントの防止に向けた意識を高めていくことが重要であり、特に事業主には、パワハラ対策の措置義務を守ってほしいと心から願う。
ちなみに中小企業の施工は、2022年(令和4年)3月31日となり、それまでの間は、努力義務となる。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/00330.html
https://www.businessinsider.jp/post-213789
