苦歴 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

最近、各国及び都道府県のリーダー達が「ウイルスと『共存』する」という言葉を使っているのをよく耳にするようになった。

 

 

 

 

世界中で、もう少し我慢、もう少し...と来たが、やはり感染者がゼロになるというのは難しく、ワクチンが入手できるまでは、ウイルスと共に生きなければならないということなのだろう。

 

しかし、実際、人類史においてウイルスとの戦いで根絶できたのは天然痘のみといわれている。安倍首相はこの新型コロナウイルスのワクチンは、早ければ7月には治験が開始できる見込みだと発表した。けれど、それも製造ラインにはいり、一般の人への接種が始まるのは、まだ数年先の話となってしまうのだろう。

 

いい加減、経済活動を再開させなければ、経済は崩壊してしまうわけで、各国、各地方は緩和は慎重にしていき、ウイルスと共に生きる時代となった。

 

欧米ははじめの第一歩を歩み始めたが, あまりにも制限がかかりすぎて営業は始められてもかなり厳しい状態のようだ。(日本はロックダウンさえしていないものの、自粛要請でかなり厳しい状況だ。)

 

イタリアでは、新型コロナウイルスの影響により活動を縮小をしている事業主は、”Covid-19”を理由として、従業員の給与支払いに際し、最長9週間、特例の給与補助金庫(Cassa Integrazione in Deroga)より給付を活用できる。また、自営業者、観光などにおける季節労働者、観劇関連の労働者、農業従事者などに対し、月当たり600ユーロの給付金を最長で3カ月間付与されるのだが、手続きは日本より早かったものの、まだ支払われていない人も多いようだ。

 

日本は都道府県によってまちまちのようではあるが、オンライン申請にも何かと問題があり、そもそもマイナンバーカードの普及率は19%といわれており、役所の職員でさえ25%しか保持者がいないというのだから、まだまだなのだ。結局郵便申請を待っている人がほとんどで、困った人ほど困窮してしまうという状況だ。

 

いくら感染を抑えるためとはいえ、経済が立ち行かなくなれば、感染症対策を続けることもできなくなる。企業の倒産や個人の破産が広がり、信用不安や社会不安が拡大することは防がなければならず、第二波、第三波にどう備えるか?備えようはあるのか?と不安ばかり残ってしまう。

 

こんな時に, こういう言葉は不謹慎かもしれないが、『学歴や職歴よりもたいせつなのは、「苦歴」。これまで乗り越えてきた数々の苦しみ。気がつけば、それらは経験という宝になっている。』というシスター渡辺の言葉を思い出す。

 

希望を失わず...と思っても一日に何度もため息をついてしまう。

 

学歴とか職歴は他の人と同じものを書くことができても、苦歴は、その人だけのものであり、従ってその人を語るもっとも雄弁なものとなるだろう。言葉に表しきれない苦しみの一つ一つは、乗り越える、乗り越えられることによって、その人のかけがえのない業績となると信じたい。

 

なんとか踏ん張らなければ....