今ここ | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

このコロナ禍によって、多くの人がいいようのない不安に陥っていると思う。
 
去る5月14日、国連(UN)が発表した医療従事者へのメンタルヘルスにまつわる聞き取り調査では、カナダ国内で医療従事者として働く人々のうち47%が精神的サポートを必要としていると回答したほか、中国では50%の医療従事者がうつに悩まされていると報告。パキスタンでは、精神的やや不調を訴えた医療従事者が42%、ひどい不調を訴えた人が26%と、世界各国の新型コロナウイルス感染症の最前線で戦う人々の多くが精神的苦痛を経験しているという結果が浮き彫りになった。
 

精神的苦痛に悩まされているのは、医療従事者たちだけではない。同調査によると、イギリスでは、以前から心の問題を抱えていたという若者たちの32%がパンデミックが引き金となりメンタルの状態が悪化したと回答。

 

イタリアとスペインの一般家庭の両親たちを対象に行なわれたパンデミック禍での子供たちの精神状態に関するアンケートでは、子供たちが「普段よりも集中力を維持できない」との回答が77%、「情緒不安定で怒りっぽくなったと感じる」が39%、「神経質になった」が38%「孤独を感じている」が31%となった。

 

感染者数、死者ともに世界最多となっているアメリカにおいては、じつに半数近い45%の人々がパンデミックにより、いわゆる“コロナ鬱”と呼ばれる、精神的苦痛を経験していると訴えている。

 

ところで、最近「マインドフルネス」という言葉をよく耳にする。
 
マインドフルネスとは、自分にかかわるすべての状況をありのままに受け入れ、「今ここ」の瞬間に意識を集中することだという。
 
「今、この瞬間」にいるために不可欠な注意力と集中力を養うためにマインドフルネス瞑想なるトレーニング方法もあるのだそうだ。精神疾患などの治療法のひとつとして効果が期待されているだけでなく、生活の質を高め、より良い人生を送るための手段ともなりうるそうだ。
 
私自身もそうなのだが、さすがに、先が見えず、また自分が今、誰のため、何のために何をしているのか?などと考えていると、さすがに不安定になりがちである。
 
自分の努力だけではどうしようもないこと、負いようのない責任といったような想像を超える出来事が起き続け、それでもどんな失意、失望の中であっても、これまた「人生」と受け止め、自分に与えられた生を生きるべきであるか....
 
今ここ...生きている、生かされている、この命。自分の力を信じて, 自分でなんとかせねば...では辛すぎる。そこは、私の場合は、やはり信仰に立ち返るべきだろう。疑問に思うから、躊躇するからだめだと思っていたが、それもまた信仰なのかもしれない。弱い自分を認める。受け入れる。
 
今日出来ることを精一杯、自分を生きよう。そして何事にも感謝の気持ちを忘れないように。ご飯が食べられて、寝るところがあるだけでも幸せなのだと思わなきゃ、大切な友人が気づかせてくれた。感謝。