ミモザ | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。



3 8日、最愛の父が帰天した。享年83歳。物静かで真面目な人だった。正に真面目を絵に描いたような人だった。


毎朝エスプレッソコーヒーを飲むことを欠かさず、年に何度も夫が日本出張に出かけるたび、コーヒーを買ってきて欲しいと頼まれた。足りなくなるとKALDIで同じ物を購入していたようだが、味が違う、とよく言っていた。


2週間前、救急車で病院に運ばれたにも関わらず、缶コーヒーを飲んでもいいか?とドクターにせがんだそうだ。ダメに決まってるではないか?でも、2週間もたないとわかっていれば、飲ませてあげたかった。


又、グラッパも好きだった。それは食後酒だし、小さなグラスで飲むんだよ、と言っても、大きなグラフで食事中に飲んでいたっけ。本人が好きならそれでいいではないか?と家族に言われた。


口が重くても、お酒が入るとよく喋った。気分が良くなると嬉しそうに何度も同じ話をした。


いつからかフクロウの置物のコレクションをはじめ、旅行先でフクロウを見つけてはよく父に持っていったっけ。それはものすごい数になり、地震のたびに倒れないか母が嫌がっていた。


またいつからか漢字パズルにはまり一日中何年も辞書を抱えて熱中し、挙げ句の果てに四文字熟語のパターンをまとめ始めた。物事はまると、とことん追及するところは、分野は違うものの私が引き継いだらしい。苦笑


父の他界に関しては多くの方々から温かいメッセージを頂いた。その中で、あるイタリア人の神父様より「一生涯をかけて若い世代に残してくださった尊い遺産を深く感謝し、天国で安らかに憩わんことを祈り申しあげます。」とあった。


生きていることで次世代に残すメッセージってあるんだなあとしみじみ考えた。そう、生きている事に意味がある。生きていることで人に勇気を与え、希望を与える。


そして亡くなってもその人の魂は、勇気や希望を与えた人の内には生き続けるのだ。


父は苦しみから解放された。それを近くで見ていて苦しかった母も、その苦しみから解放された。それは神に感謝だ。


母もやる事をやったから悔いはないと言っていた。私が電話口で泣くと、「あなたが泣くとこちらも泣けてくるから泣かないで!」と喝を入れられた。母は強しだ。


空手の師範に、こういう時こそ丹田に力を入れ頑張って乗り越えろ、と言われた。


悩みに悩んだ結果、帰国することにした。封鎖される直前のミラノを出る人は逆に菌をばらまく危険性があると言われているだけに、心苦しかったが、やはり父に最後挨拶しに行くことにした。


今日38日は「女性の日」。ミモザの花をプレゼントし合う。これから「女性の日」が来る度に、父を思い出す事だろう。


お父さん、ありがとう。そしてお疲れ様でした。