戦争がもたらすもの 〜 その3 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 
 
 
 

 
パパ様が38年ぶりに遂に司牧訪問された。
 
タイより夕方羽田空港に到着。翌朝長崎へ移動。  
 
パパ様は長崎と広島を訪れ核廃絶呼び掛けられた。過去に多くの宣教師や伝道師と呼ばれるキリスト者が来日しているが、原爆記念館に訪問したり反核兵器を話す人はほとんどいなかった。
 
「この場所は私たち人間がどれだけひどい苦痛と悲しみをもたらすかを深く認識させる」と述べられ核兵器の非人道性を強く非難。そして「核兵器や大量破壊兵器を持つことは平和や安定につながらずむしろさまたげになる」と指摘し、核兵器を持つことが安全保障につながるという考えは、恐怖と相互不信に基づく誤った認識だとして批判した。
 
そして、核兵器禁止条約を含め核兵器と軍備の削減に向けて各国に引き続き働きかけていく考えを示した。さらに武器の製造や開発に多額の費用が費やされるのは「途方もないテロ行為」だとしたうえで、貴重な財源は貧困対策や自然環境の保護にこそ使われるべきだと強調。
 
新しい兵器の技術開発が進む中で多国間主義の衰退が事態を深刻化させているのを目の当たりにし、国家間の相互不信の広がりが、兵器を規制する国際的な取り組みを崩壊させかねず、食い止めねばならない。核兵器のない世界の実現に向けて核の保有国、非保有国をとわず各国政府をはじめ、全ての人が一致団結して取り組まない限り、平和の訪れはあり得ないだろう。
 
パパ様が常に仰っているのは、平和の敵は『戦争』だけではなく、『無関心』も敵だという事。

 

余談だが、上記「焼き場の少年」の画像は以前書いたので、内容は割愛するが、頒布用に準備されたカードの裏にはイタリア語で”il frutto della guerra”とありパパ様の署名があった。”il frutto” とは直訳すると果実、実りだ。『戦争のフルット(フルーツ)』戦争の果実。これを日本語にどう訳すか。常任司教委員たちで議論し、『戦争がもたらすもの』という訳に落ち着いた、という。これをカトリック中央協議会は20万枚ほど刷り主にカトリック信者に配布したそうで、私も帰国中、ミサに与った教会でもらいミラノの信者の友人に配っていたが、数部残っていたことに気づき、今朝のミサの後、親しくしているシスターや司祭、信者の仲間に配った。「今朝パパ様はまさに長崎から平和を祈り、発信されたのですよ」というと皆喜んでいた。

 

明日、パパ様は、司牧訪問のテーマでもある「すべてのいのちを守るため」東日本大震災の被災者らと面会される。そして、天皇陛下、安倍首相とも会談される。

 

世界各地で続く内戦や紛争の解決に向けて人々が連帯を深めなければならないが、パパ様がどう発言されるか目が離せない。