ブレラでのんびり土曜日 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

今朝、ブレラ美術館の一角にあるブライデンス国立図書館における日本文化に関する講演会に出かけてきた。
 
 
建築遺産であり、ミラノの歴史そのものでもあるブレラ美術館。内部に入るとすぐにナポレオン像がお出迎え。
 
 
後からわかったのだけれど、もともとここは17世紀に建てられたイエズス会の施設だったという。ブライデンス図書館、天文台、植物園、ロンバルディア科学文学学院などの文化施設も併設していたそうで、当時、そこに滞在していたオーストリア大公マリア・テレジアの希望で、美術学院の生徒達の教育のために、1776年より絵画の収集が始められたという。ブレラ美術館として開館されたのは1809年のこと。
 
ちなみに、この建物は当時ラテン語で「ブライダ」と呼ばれた郊外の未開拓の土地に建設されたことから、ブレラの名が付けられたようだが、それで”Braidense”か...と納得。
 
 
 
ところで、今回の講演会の内容は、日本の書物にみる衣服、つまり着物に関し、着物の歴史から始まり、着付け云々のデモストレーションが行われた。
 
まだ締め付けるの?まだ紐で結ぶの?そして帯が結ばれ、周りから感動のため息の声が溢れ出す... 質疑応答もなかなか面白いものがあった。しぼりの生地の場合はもともとどれくらいの大きさ(幅)の生地を使うのですか?とか帯の長さ、逆に着物を着た時に見えるうなじや草履の粋な履きかたなどを説明されると、またまた”は〜”と感嘆し、感動の声が上がった。
 
また、前記にもあるように、もともとはイエズス会の施設だったのだが、ヨーロッパ諸国がナショナリズムを強め、王権のもとに国をまとめていこうとした時、国境を越えて自由に活躍し、教皇への忠誠を誓うイエズス会の存在が目障りなものとなっていたという。18世紀になるとイエズス会への弾圧は急速に進み、1773年、当時の教皇クレメンス14世は回勅『ドミヌス・アク・レデンプトール (Dominus ac Redemptor)』を発してイエズス会を禁止した。
 
ちなみに、先日訪問してきたスカラ座近くのS.Fedeleはイエズス会の教会であるが、1773年のイエズス会禁止令の後、教会は現在スカラ座があるサンタ・マリア・アッラ・スカラ教会へ委任。しかし、その後スカラ座が建築されるため、取り壊され、結局は破壊された建物から多くの装飾と芸術作品はS.Fedeleに移った。
 
話は前後するが、上記ブレラのイエズス会施設は移動となったが、書庫に関しては、そのままブライデンス図書館に保管されている。その書庫が今月21日から4月27日まで一般公開されるようになった。
 
 
 
こちらは、イエズス会宣教師のアレシャンドゥロ・ヴァリニャーノ (Alejandro Valignano, 1539~1606) の著書(1586年)。イエズス会の巡察師として日本を三度訪れており、天正遣欧少年施設の企画を発案した。
 
 非常に興味深い。
 
 
 
ところで、午後から先日紹介したサンマルコ広場のフロラリア祭へ出かけた。
 
 
松葉菊のオレンジ色を購入。
 
こちらは友人のポップアップカフェ”李青ミラノ”。
 
 
抹茶ケーキとなつめ茶を頂いた。前回彼女のお宅で蜂蜜入りのなつめ茶を頂いたが、今回は黒糖で作られたお茶。濃厚でありながらしつこくもなく、心と体にとても優しい味。
 
なつめは世界三大美女で知られる楊貴妃も好んで食べたといわれるおり、中国では「一日に3粒のなつめを食べると年を取らない」という言葉もあるそうだ。またイスラム教徒でもラマダンの時期になるとなつめ(デーツ)はかかせない。日没が来て、その日の断食を終えてすぐに食事をする前に、ビタミンとミネラルの多いデーツで栄養補給するそうだ。余談だが、オタフクソースのコクの深い甘みのあるお好みソースの原料はなんとデーツなんだそうな...
 
...というわけで、帰り掛けにアラブショップで早速デーツを購入。なつめ茶を作ってみよう!貧血気味、気分が落ち込む、肉体的にも精神的にも疲れ切ってしまう(私か?!)など、「血」や「気」の不足を感じているなら是非是非取り入れたい自然食品!
 
充実した1日だった。感謝!
 
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