如月 〜 二月の小舟 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

 

 

 

 冬を運び出すにしては

 小さすぎる舟です。

 

 春を運びこむにしても

 小さすぎる舟です。

 

 ですから、時間が掛かるでしょう

 冬が春になるまでは。

   

 川の胸乳がふくらむまでは

 まだまだ、時間が掛かるでしょう。(by「吉野弘詩集」)

 

 

旧暦2月の異称は「如月」だ。由来としては、もともとは「衣更着」という漢字で、「寒さが厳しく重ね着をする(衣をさらに着る)季節という意味があったという説が有力。

 

他に、天気がよくなり陽気がさらに増すので「気更来」「息更来」、春に向かって草木が生え始めるので「生更木」、お正月に迎えた春がさらに春めいてくるので「来更来」という説もあるとか...

 

確かに日中たとえ暖かそうに見えても、まだまだ薄着はできない季節だ。足首なんぞ出そうものなら風邪をひいてしまいそう。(空手の稽古ではもちろん素足だが...)

 

ところで、9年前の2月に父が心筋梗塞で危篤と言われ、次男を連れて急遽帰国した。226事件の1年後に生まれた父。病院で誕生日を迎えた。

 

あれから何度、血管が詰まりステントを埋めたことだろう。現在は頭もしっかりしているし、今や心臓はもちろん、血液検査でも引っかかることはない。唯一足腰の筋肉が弱り、思うように歩けず、家中介護用の手すりが付いているにもかかわらずよく転ぶようだ。

 

現在は週に2度整体の方が来てくださり、マッサージをしていただき歩行訓練をし、徐々に歩く距離も増えているそうだが、通院以外で外出することはほとんどなくなったようだ。

 

毎年2月が来るたびに当時のことを思い出す。そして、母も2月のお父さんの誕生日を超えない限り、すっきりしないのよね、と常に言う。私もそう。

 

完全に春になるまではもう少し時間が掛かることだろう。それでもゆっくりでも春は、着実に近づいている...

 

 

 

 

http://blog.livedoor.jp/s_sofia1317/archives/2010-02.html