イタリアの若者による暴力行為に思う | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

  

  

 

 

今始まったことではないが、ここ数日、イタリアの小〜高校生による暴力事件が新聞やニュースにやたら取り上げられている。

 

昨日の新聞によるとフィレンツェ郊外の小学校で7歳の少年が先生に頭突きし、鼻にひびを入れさせたという。しかも前日その子はナイフを持ってきていて、クラスメートめがけて投げたという。

 

また、やはり昨日、ミラノ郊外のヴィメルカーテという場所の高専で教師が、生徒に椅子を投げつけられ負傷。その学校では2年前に15歳の生徒がクラスメートを殴り、5年前にも18歳の生徒が教師を殴り問題となっている。

 

過去の経験からあまり認識はなかったのだけれど、やはりイタリアでの校内暴力も激しいようで、昨年、未成年者のいじめ防止対策法なるものが発布されており、学校のHPにも掲げられていた。いじめ、サイバー暴力の被害者または証人である場合は、教師やいじめ問題に関する機関や団体に連絡をとり、いじめ防止等のための対策を総合的に推進するよううたわれている。

 

荒れる学校は警察の介入も必要だろうし、教師やクラスメートに暴力を振るった時点で、場合によっては現行犯逮捕さえもあり得るのだ。

 

それを思うと、先日起きたオラトリオでの暴行事件は警察を呼び、告発しても良かったんじゃないの?と数人の友人には言われたが、私も今後のオラトリオを思えば、警察を介入させ、場合によっては一時的に閉めることも必要だったのでは?と思う。

 

先日の100歳を迎えたシスターの祝賀会では私の噂を聞いたという人が数人、私の無事を確認しに来た。また、実際その場にいて、全てを見ており、怖くなってそれからオラトリオに行かなくなったという子供の親の話も耳にした。当然のことだろう。そして、親だったら行かせたくないはず。

 

とはいえ、私に、オラトリオに来ている子たちに現実問題として、人に対する礼儀、規律を守ることなど云々教えるためにも私はオラトリオから去るべきではない、と意見してくるものもいた。ではあなたがしてくれますか?と言いたいくらいだ。暴力沙汰はそうそう起きるものではないが、彼らの荒さには、どう対処してよいのかさえわからない。暴力や言葉の暴力ではなく、柔和と愛をもって子どもたちと接しようとしても、その前にこちらが折れてしまいそうだ。今時の中高生はオラトリオへ来てもずっと携帯電話をいじっていて、サッカー以外に人と混じろうともしない。

 

カトリックのドン・ボスコは「愛の教育」と呼ばれ、創立したサレジオ会は、聖フランシスコ・サレジオという聖人の名から名付けられたもの。聖フランシスコ・サレジオは、たとえ命を狙う敵に対しても柔和と謙遜で関わり続けた人だったという。いや、ここではありえないし...一般主婦が怪我をさせられてどうする?

 

上記事件に関しては、児童生徒の国籍には触れられていないが、まあ十中八九想像はつく。またイタリア人家庭だとしても様々な問題を抱えた家庭の子供なのだろう。学校で問題を起こせば、即停学かひどければ進級もできず、フェードアウトしていくケースが多いのだろう。そういう子たちが外で発散、特に教会の敷地内でされるのは非常に困るのだ。そこを愛を持って接するように、と言われても、心身ともに無理なものは無理。

 

教育的指導は必要であろう。しかし、そうそう成り立つものではないのだ。教師や周りの生命や身体が害されるおそれがある場合は、やむを得ず警察権力の行使も仕方ないと思う。しかし、決して司法で対応または排除することが良いことではない。

 

本来なら保護者や家庭へのアプローチ、そして地域へのアプローチも必要であろう。また学校と地域との連携、教育者間の連携...と言いたいところだけれど、きれいごとに過ぎないのか?そう簡単な問題ではない。また私自身(私の立場の人)も本来ならもっと粘り強い努力、不信感を払拭し、一歩一歩連携協力の体制を作っていくことが必要だった...と言いたいところだが、今の時点では力こそ湧いてこず。ここは司祭が頑張らねば!!

 

とはいえ、社会を担うのは人であり、人を育てるのは教育。教育に与えられている責任は非常に大きい。親として、社会人としてどうあるべきか...悶々としつつ気になる問題だ。

 

 

 

http://www.gazzettaufficiale.it/eli/id/2017/06/03/17G00085/sg

https://internapoli.it/maestra-ferita-a-testate-da-un-bambino-di-7-anni-anni-andava-a-scuola-con-il-coltello/