植物から学ぶ心 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

週末から冬時間に入るが、朝の8時でもまだ空が暗くて薄寒い。それでも朝顔3つ開花。しかし、今年はどうも奇形?の花が多いのはなぜ?
 
 
一つの萼から二つ花が出ていたり、花びらが切れて咲いたが、実際は萼片が多かったというものもいくつかあった。100均の種だからか?とも思ったが、どうなのだろう...
 
このような朝顔の突然変異体は,「変化朝顔」又は「変わり咲き朝顔」と呼ばれるそうだ。実際、変化アサガオは江戸時代後期(18世紀中頃中頃)に出現し,昭和初期まで熱狂的なマニアによって栽培され,現在まで保存されている、という。
 
栽培技術の進歩やバイオテクノロジーの発展もあり、現代ならではの変化朝顔の栽培・鑑賞ということも可能なのだろう。
 
ところで、日々植物から学ぶことが沢山ある。
 
植物は一度、根を生やすと、そこからは動かない。そこで、外敵から身を守るため、その環境に合わせて体の形を決める•変えるという特殊な能力を持っている。例えば、枝が折れたり、根が切れても、それに変わる新しい枝や根が出てきたり、挿し木や接木でも芽を出す、という能力。この能力のことを「細胞分化の全能性」と言うそうだが、人間だって心が折れそうになっても、強く生きる力は秘めているのだ。
 

思い通りにはいかない自然界での日々を植物も送っている。猛暑、強烈な日差し、強風や暴雨、雹に豪雪、病害虫...数えきれない困難の中で自分の一生を遂げなければならない。種から芽を出し、花を咲かせ実をつけ、また種になるまでに数々の困難が待ち受けている。

 

どんな天候や環境であれ、言い訳せず、一生懸命、自分を変化させては伸びようとする。自然界へ反抗することもなく、むしろ全て丸ごと恩恵感謝であるかのごとく、自然界に合わせて自分を正しく変化させていこうという謙虚な姿だ。

 

常に何が来ても順応するという柔軟性は、常に何がきても自分の方を変えるという準備を怠らない。準備を怠らない人は言い訳することもない。状況に合わせて順応できる人は、周囲の人や環境にうまく連携しながら進んでいく柔軟性と適応力を持っているのだ。

 

時に、正直者は馬鹿を見る、というが、徳を積み、長いスパンで見れば、正直者は人に大切にされる。「損得」は結果であり、「正直」は生き方。自然の命と同様に、謙虚に太陽の元、周りを活かし共生しながら真摯に自分の生を生き切るということ。

 

これまた、「足るを知る」。足るを知り「ありがとう」「お陰様で」という感謝の気持ちを忘れずに、植物の生き方を見習い、真心の一日を積み重ねていきたいと思う。