天声人語 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

長女はいわゆる文系少女として育ち、数ヶ国語習得しているが、一番のネックは日本語。

 
ボローニャに暮らし3年。家族とやり取りする時しか、日本語を使わないというが、メッセージだと私が日本語で送っても漢字が読めないといい、返事はローマ字のことが多い。
 
大学3年生。来年の春卒業予定。イタリアに20年以上住んでいても、いまだにイタリアの大学のシステムがよくわからないのだが、秋に大学が始まるとはいえ、入学式もなく、翌年コースを変える人もかなりいるし、毎年変えるだけ変えて、やっぱり行きたい道が違う、という人も多い。数年働いてから大学に入る人も多く、長女が大学に入学した時は、高校はストレートで卒業が19歳だが、彼女が一番年下で回りは皆20代、30代の友人もいたというから驚き。
 
そして、大学を卒業するにはすべての科目試験を終えた学生が最後に卒業論文を提出し、教授陣がそれに目を通した後に、口頭試験が開かれる。しかも一人ひとり別の日。これが、卒業試験となるわけで、彼女の卒業見込みは来年の春なのだそうだ。
 
余談だが、卒論発表をTesi(テージ)といい、学士号取得はLAUREA(ラウレア)、博士号取得はDOTTORATO(ドットラート)と呼ぶ。2017年の調査によると、高校を卒業し、大学入学手続きするのは全体の30%、卒業は15%という。イタリアはEUでは下から2番目のレベルだという。では、学士号取得者は仕事に簡単にありつけるか?というと、なかなか仕事もないわけで、博士号まで目指すケースが多いが、ではそれなら仕事があるか?といえば、非常に厳しい。であれば海外に仕事を求めて出て行ってしまう若者も多いのだが、(前置きは長くなったが)長女には、とにかく日本語を完璧にするよう助言した。
 
彼女の知識や学力が日本語も同等であれば言うことはないのだが、日本人でありながら、そりゃないでしょ....というレベルなのである。夫は簡単に一度日本で日本語を勉強したほうがいいというが、外国人ではないわけで、語学学校で勉強するのはどうかと思うし、かといって大学へ行くまでもないだろう。であれば、どうすべきか?とりあえずエッセイでもいい, 新聞のコラムでもいい、何か毎日読み続けることが大切。特に音読が大切だ。
 
家庭で日本語を話す、メッセージのやり取りをするくらいでは、国語力は伸びない。ある程度、難しい文章を精読する必要がある。精読とはじっくり読むのではなく、繰り返し読むこと。そして繰り返し読むためには、音読をする必要がある。音読を繰り返し、難しい長文が頭に入り、それを元に家族とその長文に関する対話が出来るようになる。(ではなぜ補習校時代にそれが出来なかったのか!)
 
..というわけで、帰国してから毎日一緒に夜、その日の朝日新聞の「天声人語」を読み始めた。読めない漢字の多いこと!賄賂だ、贈収賄だ、贈賄だ、とどれも似たようなことばだが、形で覚えているからなかなか漢字が覚えられない。単語をノートに書き出し、意味を書き、何度も何度も音読していた。きっと彼女の中高時代だったら、一人ででも、ましてや二人でなんて勉強することは無理だったと思う。
 
始めてまだ2日。3日を超えれば3日坊主にならず夏の間だけでも力になるし、自信になるよ、といったもののどうなるだろうか?
 
私も天声人語は好きなコラムでよく読むが、それを噛み砕いた言葉で説明する難しさを学んでいる。