10月15日に私の来伊24年を迎えた。詳細は昨年書いたのでカットするが、私のイタリア生活の原点の味を思い起こしてみた。
来て間もなく、毎日語学学校に半年ほど通っただろうか?別のクラスに日本人の生徒が数人いたが、あまりお付き合いすることもなく、クラスメートはほとんどヨーロッパの人ばかり。当時私は27歳で、周りはほとんど皆20歳前後。私は社会経験もあった分、彼らといるとどうも浮いているような気がしてたまらず、孤立していた。
朝学校に行って、お昼には帰宅。一人でお昼ご飯を食べ、夜まで一人の生活は、テレビもなく今現在のようにPCや携帯電話もなく、他にすることもなく退屈で退屈でたまらず、日本の友人に手紙ばかり書いていた。
学校帰り、バス停前のパン屋さんでパンを買ってよく食べたものだが、そこにコンフレークとレーズンの入ったクッキーが売られており、好きでよく食べていた。
何度も引越しを重ね、最終的にミラノにやってきたが、パン屋さんで似たようなクッキーを探したが、見つからず。知り合いの日本人の方が似たようなクッキーを作っていたので、レシピをもらったが、それはレーズンではなく、チョコチップが入っており、外は硬くてサクサクした感覚というよりは、ふっくらやわらかで私のお気に入りのものとは、似ても似つかないものだった。味も違う。
もう、作るしかないわ。
コーンフレークとレーズン(これはチョコチップでも構わないのだが)のレシピを探しまくり、片っぱしから作ってみた。硬さが違う。甘さが違う。どれだけ試しただろうか?そして、最終的にできたのがこれ。
バターを溶かして、そこに砂糖を混ぜる。卵を加え、良く和えてからコーンフレークとレーズンを投入。その後に小麦粉。目から鱗だった。コーンフレークって後からじゃなかったの?
バターの入った練ったものと小麦粉がコンフレークが入っているため、それほどよくまざらずこれでいいのか?と不安になるが、焼くとバターが溶け始めうまい具合に絡むのだ。
食感が一瞬スコーンほどの硬さだが、コーンフレークのパチパリ感、そして熱が直接加わるため、ちょっぴり苦味のあるレーズンを噛むとねっちょり、そして甘酸っぱさが口に広がり、また濃すぎないバターの香りがあとを引かず病みつきになるのだ。
昨年、教会音楽に携わる人の守護聖人、サンタチェチリアのお祝いに、ミラノのドウモのオルガン奏者を招待しお祝いし、皆で歌ったが、持ち寄りパーティーでこのクッキーを持っていったら、そのオルガン奏者が美味しい!と言って抱えて食べていた。その後、FBで友達になったのだが、あのクッキーの! と覚えていて下さった。爆
あっという間の24年だったが、涙あり、笑いあり、そして苦悩もあった24年間。時にはこのクッキーを食べて、前向きに歩んでいきたい。


