日本ヴァチカン国交樹立75周年 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

今年の1月末にヴァチカンのギャラガー外務官が安倍総理大臣を表敬訪問したのは、記憶に新しい。

 

また今年に入り、遠藤周作著書、スコセッシ監督による映画「沈黙」が公開され、何かと話題になった。

 

日本とカトリック教会との関係は, 1549年イエズス会士フランシスコ・ザビエルが当時の日本の 南端にある薩摩藩を訪れたことに始まる。イエズス会士など宣教師が西日本を中心に布教、多くの信徒が誕生し日本からは, 1585年に天正遣欧少年使節が、1615年に慶長遣欧使節がバチカ ンを訪問し当時のローマ教皇に拝謁。

 

しかし, 1614年, 徳川幕府はキリスト教信仰を禁止し, 布教は厳しい弾圧に遭い, 1644年以降、カトリックの司祭は誰一人いなくなり、カトリック信者は密かに「隠れキリシタン」として信仰を続けざるを得なくなった。鎖国, キリシタン禁教と殉教の時代を経て、明治時代の初めに禁教令が解かれて、現在に至るという470年余りの歴史をもっている。

 

日本政府は第2次世界大戦中の1942年にヴァチカンと外交関係を結び, 今年は、外交関係が樹立され75周年を迎えることになる。そこで、上記ギャラガー外務長官が訪日したわけだが、昨年の5月には秋篠宮殿下ご夫妻がパパ様を表敬され、またミラノにもいらした際もイタリア中で話題となった。

 

この機会に, 現在の日本とヴァチカンの関係を見てみると、2014年にNTT データとキャノンが, ヴァチカン図書館所蔵の手書き文献約8万冊のデジタル化事業に参加している。これら 文書がデジタル化されれば, 容易に貴重な資料へのアクセスができることになる。また, 遡れば, システィーナ礼拝堂のフレスコ画の修復は,日本の民間テレビ局である日本テレビの協力により, 13年の年月をかけて行われ, 1994年に完成。さらに, 2015年には, 凸版印刷とヴァチカン図書館の共催により, 東京で「ヴァチカン教皇庁図書館展」が開かれている。なお,東京印 刷博物館では, デジタル化されたシスティーナ礼拝堂を見ることができる...などなど。

 

昨日、機会があって、在ヴァチカン大使館の参事官にお会いする機会を得たが、この記念すべきこれからの1年の間に、記念事業として、両国での記念式典、記念ミサとレセプション、シンポジウム、記念コンサート、能の実演はじめ和食、茶道、華道など日本文化紹介などが計画中だそうだ。ミラノからも駆けつけられるといいのだが...

 

ちなみに、この記念企画には、「日本ヴァチカン国交樹立75周年」ロゴというものがあるが、使用に関し、承認申請書及び誓約書を大使館に提出せねばならず、まだ団体または個人の活動内容、概要も必要だというので、とりあえずロゴ使用は省略。(涙)

 

余談だが、ギャラガー外務間訪日の際、安倍総理大臣は、核廃絶に向けた協力を確認するとともに、パパ様の訪日を招請。 席上、首相は「法王に被爆者への祈りをささげていただくことは、核兵器のない世界実現のために大きな力となる」と強調されたようだ。

 

余談その2。私は「パパ様」と書くけれど、ローマ法王、ではなく「ローマ教皇」が正式。日本の司教団は、1981年2月のヨハネ・パウロ2世の来日を機会に、「ローマ教皇」に統一するよう呼びかけているが、マスコミでは、なぜか「ローマ法王」のまま。ちなみに、東京にあるローマ法王庁大使館も名前はそのまま。その理由は謎。苦笑

 

 

http://www.va.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html