空手の稽古では、出席表を自己申告で提出し、稽古の後に戻される。名前を呼ばれたら、大きな声で返事をし、両手でいただく。そんなの当たり前のように思われるが、毎回師範に注意される。「返事!」「両手で!!」
イタリアだと、両手で何かを受け取るという習慣がないからだろうか、皆片手。考えてみれば、子供の通知書をもらいに行く際、担任と握手はするものの、肝心な通知書は片手で受け渡ししている。重みがないな...と思ってしまう。
服装も、言葉遣い、それこそマナーまでも適当にしていると、知らずしらずのうちに、心を込めて人に接することの大切さを忘れてしまうのではないだろうか。
Itamaで乳幼児を看ていた時、母親が迎えに来ると、両手で小さな子供を渡しても、平気で片手で受け取る人が多く驚いたことがある。また、一人でおすわりができる子を平気で机の上に置きっぱなしにして、いざ迎えに来ても片手をつかみ上げる親。ちょっちょっちょっ!!ちょっと待ってよ!お人形じゃないでしょ?と思ったものだ。
人の命も、物も両手でいただきましょうよ。片手で扱ってしまえば、大切な物の価値を見落としてしまう。当たり前のことも、辛いことも丁寧に受け止めようよ。
「両手でいただく」それは、心を込めて毎日を丁寧に生きる第一歩。
