今週の1冊 ⑨ ~ 沈黙の町で | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

   


中学二年生の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には五人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?それとも…。やがて祐一がいじめを受けていたことが明らかになり、同級生二人が逮捕、二人が補導される。閑静な地方都市で起きた一人の中学生の死をめぐり、静かな波紋がひろがっていく。被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などさまざまな視点から描き出される傑作長篇サスペンス。

大好きな奥田シリーズの割りに、展開のテンポが遅く、本は移動中しか読んでいなかったこともあるが、座席に座り揺られながら読んでいると、すぐに寝こんでしまい、思いのほか時間がかかってしまった。いろいろな視点から事件をみるのは、興味深かったが、ただただ不快感が残った。実際こういういじめってあるのではないだろうか?と想像する。

また、容疑者側と被害者側の親の立場と心理もうんうん...と思うものがあった。とはいえ、群集心理と他人の目。何者にも振り回されない芯なるものを持っていたいと思った。

勇気とは?正義とは?悲しむ人がいるという事...は? 中高生の多感な時期に、人の痛みを知るためにも、たとえ重くても読んでおいてほしい一冊。