無題 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。



ミラノの隠れ家として通っていた飲み屋がある。

夕方6時から8時までがハッピーアワーと呼ばれるアペルティフタイム。飲み物は、ソフトドリンクは2-3ユーロ。カクテルは全種類5ユーロで、タパスのように、これでもか!っというくらい、お皿が並び、お気に入りだった。

オーナーは口数の少ないエジプト人の太っちょのおじさん、モハメッッド。在伊40年。すでにイタリアの国籍を取っており、エジプト人、特にイスラム教徒をなぜか嫌っていた。

ピーノという60歳代独身のイタリア人のバリスタのおじちゃんと常にコンビを組んでいたようだが、彼らの人柄の良さが、常に固定客を逃さなかった所以であろう。

我が家は週末の夕方、彼らを訪ねに行っていたが、毎週末、同じ時間に同じ顔ぶれが集まるというなぜか懐かしい空間だった。しかも、テーブルや店の雰囲気が昭和を醸し出す。いろいろな友人を連れて行ったが、皆意外にその雰囲気を気に入ってくれたものだ。

私が行くと、「シニョーラ、ちょっと待ってて!」といって彼は奥の台所に行き、自ら大量の鳥の手羽の唐揚げを揚げてきてくれたものだ。月曜日がお休みだったので、日曜日などは、子供達に持って帰って、といって手羽やピッツアのお土産を山ほどいただいて行ったものだ。

昨年、チェントロに引っ越し、"Red Sea"という名前がなぜか”Blue Sea"に変わっていた。しかも、あまりにもモダンになっており、なんだかな....とは思っていたが、行くたびに懐かしい顔ぶれに再会した。

その彼が2週間前の土曜日、調子が悪いといって病院に行き、一度は帰宅したがそのまま逝ってしまったと昨日聞いた。天候の悪い日々が続いていたし、あれほど太り、アルコールをガバガバとのみ、夜中に帰宅。心臓は大丈夫なのだろうか?と気になっていたが、あっけなく逝ってしまったようだ。とはいえ、とても信じられない。

奥さんも30そこそこ。やはりイスラム教徒であってもベールを被っていなかった。そして、まだまだ6.7歳の子供を残して逝ってしまったのが、周りからみても非常残念に思う。彼らは今後どうしてしまうのだろうか。

年間を通し、4月は突然死が一番多いらしい。しかも死亡率は男性は女性の2倍、40代~60代が最も多いらしい。先月は、あのプリンスやマエケンがいきなり帰らぬ人となってしまった。

人は得てして、他人の死を他人事ととらえがち。けれど、死はだれにでも訪れるのも。たとえ現在病気でなくても、突然死のように、いつでも死が来てもいいように考えておくことも大切だと、人の死を通じて教えてくれる。

モハメッドの冥福を祈ると共に、命の大切さ、そしていかに毎日を生きるか改めて心に留めておきたい。

http://www.originalitaly.it/it/store/s-red-sea-due
http://ameblo.jp/sofiamilano/entry-12028643021.html