典礼聖歌 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。




聖歌とは、イタリア語では , そのままcanto sacroと呼ばれる。古代、中世から続くキリスト教において用いられる歌。ちなみにプロテスタントでは、賛美歌, 讃美歌と呼ばれる。

歴史的には、教会では男性及び少年合唱によって、または修道会では修道僧や、修道女によってグレゴリオ聖歌が歌われてきた。ミサもラテン語で行われていた時期もあるが、1960年代の第2バチカン公会議によって典礼の国語化に伴い、グレゴリオ聖歌の歌唱も義務ではなくなり, 次第に各国語の聖歌にとって変わってきた。

日本の典礼聖歌で有名なのは、高田三郎氏。幼少期からプロテスタントの教会に通われ、40歳の時にカトリックの洗礼を受けられたというのは、私と同じ。それまでには、多くの合唱曲などを作曲されており、その後、典礼聖歌の作曲を日本カトリック司教団から依頼され、晩年に至るまで220曲あまりを作曲されたという。

日本の合唱曲を聞いていると、あれ???  聖歌と似ているな?と思うことが多かったのは、作曲者が同じであったということをだいぶ後になってから知った。とはいえ、典礼聖歌は、典礼用詩篇書からとられた詩篇の数節に、リフレインを交えて歌う独自の形式が多く、グレゴリアンとはまた異なるものがある。

地元パロッキアの聖歌隊に参加して3年目。また、在ミラノカトリック日本人会でも今年度に入り係りが変わり、今年から音楽奉仕者となった。とはいえ、ミサ当日の聖歌を神父様と決めるだけだが、典礼聖歌も係りが決めるべきだ、という考えと、神父様にお伺いをたてるべきだ、という考えがあり、どうあるべきか、日本の教会を知らないだけによく分からない。また、司祭によって好みやこだわりの違いがあることも多少知った。ちなみに、地元パロッキアでは聖歌は全て司祭が決める。グレゴリアンあり、ギターを使用したフォーク調の曲あり。私はフォーク調も好きだが、わりに内部信者には受けが悪い話しを耳にし、意外だった。

今回、日本人ミサが行われる典礼に際し、聖歌はどうしましょう?と主任司祭に電話連絡を入れると、福音はなんでしたっけ?とおっしゃるので、「カナの婚礼」です。と答えると, ~とあるメロディーを歌われ、これでいきましょう。詩篇はどこ?何を読むのですか?とおっしゃるので、その箇所を答えると, じゃあこんな感じで...と聖歌のタイトルが出てきたり、一小節が出たりして、選曲決定。すぐに典礼聖歌集を見ながら、番号をメモする。

聖歌奉仕やオルガン奉仕を行うためには、まず聖書の朗読や詩篇の朗唱をふまえることが大切だろう。特に朗読は、典礼における聖書の出来事の現在化と密接に関係しているとのことで、ここで新たな恵みをいただける。

歌を通して奉仕するということは大きな喜び。奉仕するということは、ある意味召命でもある。共同体の祈りを支え、祈りを豊かにする。母国語による聖歌は神の言葉がよく味わえるからいい。

まさに「歌は祈り」。「歌は2倍祈る」とも言われているが、心を込めて、皆が一つとなりますように。