ある時30匹のあまがえるたちが、一緒に面白く仕事をしている。ある日、「舶来ウェスキー」なるものを売っているとのさまがえるに出会うが、よっぱらって支払いができない。挙げ句の果てに、とのさまがえるの家来にされてしまい、とのさまがえるを団長とする「カイロ団」なるものが結成され、団長に虐げられるのだが、ある時、「王様のご命令」によって、労働の規則が変わる。
今度は、支配の形がかわりあまがえるが上位を得るが、ふたたび「王様の命令」が降り、状態は逆となる...。
話の展開もテンポよく、ユーモアに富んだ読みやすい一冊であったが、王様の一言によって、状況が簡単に変わってしまう。さて、王様って誰?と思う。
独裁者か暴君か?または心の声なのだろううか。いずれにしても絶対服従だ。
世の中、自分が得することだけを考えている自己中心性、つまり利己主義が憎しみを生み出してしまうのではないだろうか?また、個人主義も、個人の意思が独走または暴走してしまうと、集団あっての自分の存在であることも忘れてしまい、ただやみくもに自分の主張に固執し、集団の立場を無視する危険性もあり、結局、本来利己主義と個人主義は異なるものであっても、紙一重に思えてしまう。
成熟した個人主義なしに、民主的社会は存在しない。なぜならば、自分の意思を持つことなく、絶えず他人の目と思惑を気にし、大勢の赴くままに付和雷同する人々の集まりは、単なる「群れ」でしかない。反対に自分の利益しか考えない利己主義者、他人の意見に耳を傾けようとしない未熟な個人主義者の集まりは、困り者。
健全な社会とはどういうものなのだろう?各々が意見を持つことは大切だが、他者の意見に耳を傾け、たとえ異なった意見であっても尊重することが大切である。相互が主張すべきことは主張し、譲るべきことは譲る、という「バランス」の取れた成熟した社会、人間関係を望みたい。
話はもとい、最後の「王様のご命令」は、「すべてあらゆるいきものはみんな気のいい、かあいそうなものである。決して憎んではならん。以上」と言って、かえるたちは元の仕事に戻る。う...ん、最後は水戸黄門が登場か?!爆 とはいえ、利己主義、自分主義に走りがちな自分を戒め、自分の成長はもちろん、子供や社会も共に成長できるようにならないといけないなあと思った大人の絵本だった。
https://www.youtube.com/watch?v=vXoqkThNm7g
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