アメリカから来客があり、イタリアンレストランにお連れした。
素晴らしいスカンピ。
なにもつけなくても甘い。好みでオリーブオイルと塩コショウ、そしてたっぷりのレモン汁で頂く。この場合、いくらレストランに醤油があっても、そして日本人であっても醤油で頂くのは邪道というくらい、そのままが美味しい。しかもKIKKOMANじゃね。
話は逸れたが、お客様にサン・ピエトロと呼ばれる魚をアクアパッツァというシンプルな調理法で食して欲しかったが、この日はサン・ピエトロはなし。代わりに、ガリネッラと呼ばれるホウボウで調理してもらった。顔は恐ろしいが、身はしまり淡白。
本題は本来、オーダーしたかったサン・ピエトロの話。名前を聞いて「エッ?!」と思う人もいるだろう。日本語名は「聖ピエトロ」であり、ヴァチカンの大聖堂の名前でもある。
しかし、この英語名は「John Dory」で学名は「Zeus faber」。名前だけでもすごい。しかし、ジョンってジョヴァンニ、つまりヨセフ。そしてゼウスはギリシャ神話の最高神ではないか!ちなみに日本語ではマトウダイと呼ばれるが、マトウダイ目マトウダイ科に属する魚の一種で特に「鯛」とは関係ない。苦笑 口が前に伸びて馬面チック。だからマトウ(馬頭ダイ)と呼ぶこともあるらしい。また、体側面に弓道の的のような特徴的な黒色班(シミではない!笑)があり、マト(的)ダイとも呼ばれる。
ところで、聖ピエトロは、イエスの第一であり、もともとは辺境の地と呼ばれるガリラヤの漁師で、ちなみに彼は結婚もしていた。(聖書には、彼の姑の話も出てくる!)
本名、シモン(ヘブライ語読みではシメオン)は、イエスに「ケファ」(アラム語で岩の断片、石という意味)で呼ばれていたという。また、パウロの書簡の中で、ペトロのことを「ケファ」と呼んでいる。このピエトロ、イエスの第一弟子であったにもかかわらず、3回も彼を裏切っているが、そこに人間の弱さを感じる。そして、イエスは石という名前に関し、「私はこの岩の上に私の教会を立てる」と言っている。ちなみに1939年にサン・ピエトロ大聖堂の地下10メートルの石積みの壁の奥から、サン・ピエトロの墓が見つかっている。
この魚、サン・ピエトロの逸話を探していると、ピエトロがこの魚の口から銀貨を吐き出させた、という一説を数カ所で読んだが、そんな奇跡起こしたっけ?と思い、聖書を広げてみた。新約聖書のマタイによる福音書17章24-27節の「神殿税」に関し、イエスはピエトロに「...湖に行って釣り糸を垂れなさい。最初に釣れた魚を取って、その口を開けると、スタテル銀貨が一枚入っている。それを取って、私とあなたの分として彼らに与えなさい」とある。けれど、実際銀貨が取れたかどうかは書かれていないし、第一、ガリラヤ地方に生息していたのだろうか?分布地域を調べたら、遊泳していてもおかしくはなさそうだが、ガリラヤ湖は淡水。死海に及んでは、塩水。不思議だ~。
さらに、調べていくと、サン・ピエトロは、ギリシャでは聖クリストフォロスと呼ばれているようだが、クリストフォロスは、ギリシャでは船舶や巡礼の守護聖人とされているようだ。彼がイエスを背負って海を渡った時、手にしていたのがこの魚で、その指の跡が斑紋になったと伝えられている。
まっ最終的には、どうでもいい話だが(!)、魚はキリスト教とのシンボルだったこともあるので面白いなあと思う。
雑学は いつか役立つ いとたのし




