ステテコ | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで31年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

ステテコといって思い出すのは、アニメ・サザエさんのお父さんの波平さんの下着姿。マスオさんとTVの前でくつろいで, 不意のお客さんに慌てて浴衣を取りに走る...。また、加藤茶の、禿面・ステテコ、腹巻姿のコントを昔よく見たが、自分のお父さんにだけはしてほしくない姿、と子供心に思っていた。


昭和のにおい。

もともと、ステテコは明治時代、着物や袴の下にはくものとして誕生したそうだ。洋服中心の生活になっても、ズボン下や湯上り着として日本人の日常になくてはならないものだったという。いわゆる、レギンス、スパッツ、パッチってやつか?

暑い夏になぜズボンの下にもう一枚履く?と疑問になるが、高温多湿で蒸し暑い日本の夏は、逆に汗を吸い取り、ズボンと肌がぴったりつかずベタつきを抑えることができ、大変着心地がよいということ、そして汗によるにおいや、傷みを防ぎ、大切なスーツや着物を長持ちさせるという利便性も重視されていたようだ。

ちなみに、≪ステテコ≫の語源は、明治13年頃、「ああすててこ てんてこ てんとんとん」と、寄席で舞っていた踊り「すててこ踊り」で初代三遊亭圓遊が、踊りの最中に、着物の足元から見えていた下着が現在の「ステテコ」と呼ばれるような白い肌着のようだったから、という説と、着物したに履いた下着の丈が長かったので、見えてしまうことが多く、裾から着物の下の生地を捨ててしまえ!という語源から来たという説があるという。


ところで、以前、「家庭の事情」として部屋着について書いたことがある。私は帰宅すると、最近はサムエルパンツがほとんど。以前、女同士で家庭の話をしたら、意外に男性は、下着でふらふら。すごい家庭だとお風呂に入ってそのまま裸というところもあり、ふっとんだ!えっ裸族?!

ある夏、近所のイタリア人のお宅にお邪魔したら、いつもきれいにしているおじいさんが、ランニングシャツに、長めの下着、そしてハイソックス姿で出てきたときは驚いた。家族全員家では常にパジャマという家庭もある。面白いな。

この夏は、猛暑だったということもあるが、次男は寝る時も、家にいる時もいつもTシャツにパンツ。どんなに寝る時でも、パジャマのズボンを、起きている時は、普段のズボンを履きなさいといっても履かない。暑いからか、面倒なのか。家族とはいえ、そんな姿は見たくない。

数年前からユニクロや他社のメーカーからカラフルなステテコが出始めて驚いた。今までは、ステテコ→おっさん→ダサい、というイメージがインプットされていたが、結構おしゃれで涼しそう! インナーというよりは、アウターか?

老いも若きも男も女も、夏はステテコ、冬はももひき。

生活の知恵や伝統、語源などを知りおしゃれを嗜むのも粋かもしれない。

「ステテコの歴史」