ワンクリック 〜 イタリア国籍 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

「すべての者は、国籍をもつ権利を有する。何人も、ほしいままにその国 籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。」 ~ 世界人権宣言第15条

隠れ家的存在だった飲み屋のオーナーであるエジプト人のモハメッドはすでに25年前にイタリア国籍を入手している。奥さんもお子さんもすでにイタリア国籍。

エジプトは二重国籍を認めているから、できるわけで、他にも多重国籍を認めている国は、アメリカ合衆国、ロシア、カナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ペルー、パラグアイ、ウルグアイ、イギリス、アイルランド、フランス、イタリア、スイス、ポルトガル、フィンランド、イスラエル、トルコ、ナイジェリア、モロッコ、南アフリカ共和国、コートジボワール、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、フィリピンなどであるが、原則としては認めないが例外として認める場合や、条件付の場合など状況は各国において様々のようだ。

ちなみに、日本人の重国籍保持者は,22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合は,重国籍になった時から2年以内に),どちらかの国籍を選択する必要がある。選択しない場合は,日本の国籍を失うことがあると注意を促しているが、日本の多重国籍者数については昭和59年の改正国籍法の施行前については未調査で、昭和60年当時は年間約1万人程度、その後増加し平成4年ごろには2万人程度、平成14年では約3万3千人を超えているという。昭和60年から平成14年までの数の総計は約40万人であり、平成20年の国籍法改正の時点の集計では58万人ともいわれた。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06.html


話はイタリアに戻し、この5月18日より国籍取得手続きが内務省のサイトでオンラインで申請できるようになった。https://cittadinanza.dlci.interno.it/sicitt/index2.jsp

イタリアは過去に短期的に二重国籍を禁止していたようだが、わりに国籍取得条件もゆるいという。イタリアで違法滞在の外国人に対する「正規化」もたびたび行われている。さすが、イタリア、大雑把!もとい、寛大だ。苦笑 イタリア経済が伸びているのは、ある意味外国人の豊富な労働力のおかげでもある。外国人はイタリア人の仕事を奪う!と文句を言う人が多いが、逆にイタリア人は仕事の選り好みも多い分、生活のために、どんな仕事でも受け入れる外国人の労働力に文句は言えないはず。とはいえ、これでもか!これでもか!と不法入国する外国人が流入されている中、どんどん受け入れてしまうと、権利があれば、それに伴う義務や責任もあるのに、どこまで遵守されているのか?疑問だ。

ところで、国籍取得条件として、まずはイタリア滞在10年以上、もちろん「税金とインプス」(国民年金)を払い続けていなければならない。そして、手続きのためには、出身国の出生証明及び犯罪証明云々必要で、また200ユーロの支払い用紙の半券を添付する。

先月、二人の知り合いがイタリア国籍を取得した。一人は、聖歌隊の指導者であるフィリピン人のシスター。外国人シスターたちは、滞在目的は、報酬なしなので、あくまでも「ボランテヴィア」のカテゴリーになってしまうようで、滞在許可の更新も面倒だという。しかも、大抵は修道会の本部がある住所に住居が置かれてしまうので、彼女たちはしょっちゅうローマの警察に出頭している。20年近くイタリアに滞在しているシスターは既にイタリア国籍を取得したので、少なくとも、この滞在許可証の手間暇は省かれるという。

また、我がItamaの生徒(エジプト人)も国籍を取得した。http://www.italianopermamme.org/index.php/progetto/2014-2015/103-saadia-e-cittadina-italiana  基本的に、彼女たちは二重国籍が可能だから良いもので、個人的には、日本の国籍を放棄してまでイタリア国籍になるのはどうか?と考えてしまう。とはいえ、将来長女が、万が一イタリア人と結婚することがあれば、きっと考えは違うかもしれない。

難しい問題だ。