木曜日はいわゆる、「最後の晩餐」のミサか「洗足式」が行われるが、それとは別に、伝統的宗教行事として、各教区の司教座聖堂にて「聖香油」のミサが執り行われる。
毎年気になっていたのだが、一般信者も行っていいんだよ、といわれ気合をいれて9時10分前にドウモに入った。
入り口で「ノーツーリスト!」と言われたが、「ミサ参列です!」と言ったらすーっと入れた。しかし、またお御堂で「ミサか?」と止められる。私の前にいたお婆さんが、「シニョーラちょっと長いよ。大丈夫?3時間くらいかかるけど」、と言いかけた所で、えーっ?!私の方が大きくリアクションしてしまうと、もう一人の案内係が私にVサインを送る...サインはV?!あ~2時間ね!実際はその真ん中をとって2時間半だったけど。
お御堂はまだガラガラ。前の方から司祭たちが座るので、一般信者やシスターたちは後ろの席。ミラノ大司教区は世界でも1、2番くらいの大きな教区。1000ちょっとあり、その他、修道会や病院からも、複数の聖職者たちがドウモに集まったのだからすごい数だ。
だいたい、始まるのは9時15分くらい、と聞いていたが、続々司祭たちが入ってくる。じーっと観察していると、司祭たちにはどことなく「聖職者」だという雰囲気がある。大抵の人は首元に司祭のカラーが見えるのだが、人によっては一般人のような人の長いコートもいれば、ジャンパーにジーンズ姿。リュックをしょっていると学生にしか見えない人もいた。年齢層、想像以上に若い人もおり、捨てたもんじゃないと思った。皆席に着いてから、白い祭服を上から着るのだが、これまたスーパーの袋に入れたまま入ってくる司祭も多くて微笑ましかった。教会によっては、朝8時からまたは8時半からのミサもあるから、それを終わらせてからドウモに飛んでくるとなるとミラノ市内の教会であったとしても遅刻は仕方あるまい。最高で10時に入った人もいた。
さて、その聖香油のミサというのは、聖木曜日に各教区の司教座聖堂で司教と司祭の共同司式によって捧げられるもので、式中に、司祭の約束の更新と、司教による聖油の祝別が行なわれる。
油は滋養、治療、光、清めなどを象徴するように、聖油は霊的栄養と創造主の恩恵の光の象徴であるという。聖油には、洗礼志願者用聖油、病者用聖油、そして堅信などに用いる聖香油の三種がある。聖木曜日に司教に祝別された聖油は、各教会に分配され、聖具室に保存される。我がパロッキアも先日教区の大人12人の堅信式があったが、土曜日の復活前夜祭には二人の洗礼。そして5月に中学一年生の堅信式が行われる。ちなみにこの復活祭の時期に、洗礼を受ける求道者は152名もいる。
それにしても長い式だった。ミサに入るまでの歌による祈りが約20分くらいあっただろうか。カトリックでもミラノのアンブロジアーノ典礼は、アンブロジアーノ聖歌というのが使われ、アンティフォナと呼ばれる合唱を二つにわけて歌う形式がある。特に詩篇のものが多く、とにかく長い、長い。
途中寒くなり、震え始めてしまった。けれどお隣は、マザーテレザの「神の愛の宣教者会」のシスター達。私よりもっと薄着だ。ぬくぬくしていては心が鈍る、と思ってしまった。その分、長いミサも眠気さえ起こらず、スコラ大司教のお説教は一言一言、心に語りかけてくる。自分の使命、そして宣教の意味---。
ミサが終わり、お御堂にただずんでいると一人のおじいさんが来て、私にロザリオを下った。

外に出ると、すでに先に外に出ていた司祭たちでいっぱいのドウモ前。
地元パロッキアの司祭3名と合流。また知り合いで、アフリカ、アジアに宣教に行った人たちもいたが、現在ちょうど帰国中で聖香油のミサに参列していたらしい。
Buona Pasqua!! 良い復活祭を!
非常に素晴らしい経験だった。
http://www.incrocinews.it/chiesa-diocesi/scola-sosteniamoci-con-carità-br-nel-vivere-la-comunione-presbiterale-1.106523


