四旬節 〜 ヴィア•クルーチス 〜 さまよえる難民 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

今年も小教区のヴィア•クルーチス(十字架の道行き)に参加した。

毎年四旬節の第1金曜日の夜にミラノ、サン•シーロ地区の教会6つが集まり合同にヴィア•クルーチスに預かる。ヴィア•クルーチスとはイエスの受難と復活を黙想する信心業であるが、毎年テーマがあり、それについての「証言」を加えつつ黙想する。
今年のテーマは「移民(避難民)」だった。

ここ数年、地元警察を引き入れ、小教区のホスト教会から地域を行列になって歩き祈りを捧げる形が数回続いたが、今年は外に出ることはなかった。しかも、今回はお御堂もガラガラ。だいたい夜の行事になると、小さい子供がいる家庭はまず参加しないし、週末にかけてスキーに出かけてしまう人も多く、残っているお年寄りも春先の夜はまだまだ寒い。年々状況が難しくなってきているなあと実感。

さて難民といえば、北アフリカから政治的背景によって逃げて来た人たちで船にぎっしり人が詰め込みでイタリアやヨーロッパの国々に密航して来るが、特に イタリア領最南端にあるランペドゥーザ島は、シチリア海峡を挟みチュニジアからはわずか110キロの距離。アフリカ、中東の難民たちは、まずはランペドゥーザを目指し、そこで受け入れられば電車でローマやミラノに移動、難民の受け入れ大国である北ヨーロッパへ向かう。

彼らは命からがら海を渡る。沈没した船も少なくない。彼らの心と体の痛みはイエスの受難に重なるものがある。ただ単に社会的問題のある国々に生まれただけなのに、ひもじさも知らずぬくぬくと育つ国々でのほほんと暮らす人たちもいる。

話はそれたが、移民の象徴としてゴムボートが若者たちによって祭壇に掲げられた。

話がずれたついでに、ここ数年イタリアへ入国した難民たちは、2013年では年間6万人だったが、14年は10月末まで16万5千人と急増している。

今週シリア難民が保護されている施設を数箇所回ったが、ミラノのサンシーロ地域だけでもすごい数だ。何かと近所の住民たちの苦情も多いようで、去年の夏から閉鎖した小学校に滞在していたシリア難民たちは姿を消した。北ヨーロッパへ移動したのか?と思ったら地域の住民の反対運動によって別の場所へ移動させられたようだった。

今ネットで日本の僧侶が日本人が宗教に対し寛容で世界から期待されていると言って話題になっているが、「寛容さ」というのは、それほど生易しいものではないのかもしれない。

さまざまな国籍と宗教をもった何百万もの避難民の家族が、悲惨な過去を持ち、いやしがたい傷を負っている。彼らの隣人となり、彼らの恐れと将来への不安を共に分かち合い、その苦しみを和らげるために具体的に何が出来るのだろう。

かと言って、簡単に綺麗事で済まない。実際問題、失業率の高いイタリア。そして、偏見ではないつもりだが、難民、移民は犯罪率は高いという。ここで、生活基盤や職を得るにはあまりにも不安定だから犯罪に手を染める人の割合が多くなる。リスクを考えると そうそう簡単に受け入れるのは考えものという人たちが大半だろう。

シェンゲン協定上、入国した国での手続きが大切であとは自由に移動出来るものの、何か問題が起きればイタリアへ戻される。これでは「もの」扱いだ。

ヴィア•クルーチスは第6留まで続いた。すでに夜の10時半を回っていた。パイプオルガン、そして聖歌隊の指揮者も素晴らしかったが、聖歌隊は中高年がほとんど。音を外したり歌詞を間違えたり微笑ましかった。

イタリアを始めヨーロッパが抱える難民問題、そして人としての「寛容さ」。具体的に深く重みのあるヴィア•クルーチスだった。


海の星マリアへ祈り ( 教皇フランチェスコ)

海の星であるマリア、
改めてあなたのもとに参りました。
逃げ場と静けさを求めて。
守りと助けを願って。

神の母、わたしたちの母マリア、
あなたのこのうえなくやさしいまなざしを
日々海の危険と向き合うすべての人に向けてください。
その家族が生きるために必要な支えが保障され、
被造物への敬意を見守り、国と国との間での平和に仕えることができるように。 

移民と旅する人々を保護するマリア、
母の世話心で、未来と希望を求めて
自分の土地から逃げ出さざるを得なくなった男女、子どもたちを助けてください。
わたしたちやこの国の人々との出会いが
新しくより深刻な奴隷状態やはずかしめのもととなりませんように。 

あわれみの母であるマリア、
わたしたちのためのゆるしを願ってください。
利己主義で目がくらみ、
自分の利潤にこだわり、
自分の怖れに捉われているわたしたちのために。
わたしたちは兄弟の欠乏や苦しみを前にしながら気を散らせているのです。

罪びとの逃げ場であるマリア、
心の回心をお与えください。
戦争や憎しみ、貧困を生みだし、
兄弟とそのもろさにつけ込み、
人のいのちを尊厳のない商売にする人がいるのです。

愛徳の模範であるマリア、
善意の男女を祝福して下さい。
この地にたどりつく人々を迎え、彼らに仕えているこの人々を。
受けた愛、与えた愛が新たな兄弟愛の絆の種となり、
平和の世界のあけぼのとなりますように。 

アーメン。 


http://ameblo.jp/sofiamilano/entry-11797281064.html
http://www.vatican.va/news_services/liturgy/2013/documents/ns_lit_doc_20130708_lampedusa-maria-stella-maris_it.html